グランプリシリーズ第4戦:NHK杯

caltec2009-11-06


フィギュアスケート:NHK杯 安藤、転倒2位−−SP


6日、長野・ビッグハットで開幕し、第1日は4種目が行われた。


<女子シングル>


女子のショートプログラム(SP)はロシア杯優勝の安藤美姫トヨタ自動車)が56・22点で2位、フランス杯3位の中野友加里プリンスホテル)が54・92点で3位、GP初出場の石川翔子(明大)は44・28点で10位。ロシア杯2位のアシュリー・ワグナー(米国)が56・54点で首位に立った。


◇「スケート人生で最悪」 安全策が裏目、集中力欠く


滑り終えた安藤に、笑顔はなかった。首位とわずか0・32点差の2位につけたが、「私のスケート人生の中で最悪の演技と思う」と自嘲(じちょう)気味に振り返った。


モーツァルトの「レクイエム」の曲に乗り、冒頭の3−2回転連続ジャンプを何とか降りたものの、続く3回転フリップで転倒。その後もレイバックスピンが最低のレベル1認定になるなど、波に乗れないまま滑り終えた。「ジャンプに失敗したから最悪なのではない。気持ちが乗らず、集中できなかった。何を表現したかったのかと考えてしまうほどだった」と明かした。


逆転優勝したロシア杯の後、ニコライ・モロゾフコーチと協議し、3−3回転連続ジャンプを今大会は回避する方針を決めた。「GPファイナルに進出するため、ミスのない演技をする」と安全策を取った。だが、安藤は「複雑な気持ちがあった。公式練習でも調子が良かったし」と割り切れない思いを抱えていた。もともと精神状態が演技にすぐ表れるタイプだけに、その方針が集中力の欠如につながってしまった。


もっとも、表現力などを問うプログラム構成点28・52点は出場選手中最高。有力選手たちにミスが相次ぎ、逆転優勝できる展開に持ち込めた。「(ロシア杯に続く)連勝とかは考えない。スケーターとしてやるべきことをする」。円熟期に入った元世界女王が、フリーに向けて決意を込めた。【来住哲司】


◇中野、3位でも評価


女子シングルスの中野は、ショートプログラム(SP)3位スタートとなった。序盤の3−2回転連続ジャンプは、タイミングが合わず失敗。最初のトリプルルッツが回転不足となり、2回転を加えることができなかった。しかし、目立ったミスは、ここだけ。安定したスピンを見せるなど無難な演技を披露し「失敗はあったが、(SP2位の)フランス杯より滑りは良かった」と自己評価。ライバルたちが点数を伸ばせなかったこともあり、グランプリファイナル進出へ一定の手応えをつかんだ様子だった。


<男子シングル>


男子のSPは日本勢が出遅れた。2年ぶりのGP出場の高橋大輔(関大大学院)が78・18点で4位、ロシア杯2位の小塚崇彦トヨタ自動車)が74・05点で5位、GP初出場の村上大介(青森短大)は66・78点で9位。首位はフランス杯4位のブライアン・ジュベール(フランス)で85・35点だった。


◇高橋、GP初戦4位 ジャンプ手応え、ステップに課題


昨年11月に痛めていた右ひざを手術し、五輪シーズンを迎えた高橋。2年ぶりの出場となったGPシリーズ初戦のSPは、課題と手応えの両方を感じさせる内容になった。


「びっくりした。バランスを崩し、取り戻せないうちにエッジが引っ掛かった」と苦笑まじりに振り返ったのは、終盤のステップで転倒した場面。約1年半ぶりの競技会となった10月のフィンランディア杯の狙いは「試合勘を取り戻すこと」で、今回は「メリハリのある演技を」と考えていた。だからこそ、売り物であるステップの失敗を高橋は「一番見せたかったことができなかった。残念です」と悔やんだ。


それでも、表現力などを問うプログラム構成点で高い評価を得るとともにジャンプでも高得点を稼ぎ、SP4位につけた。序盤に3−3回転の連続ジャンプとトリプルアクセル(3回転半)を完ぺきに決めるなど、体の切れが戻っていることは示した。


後半にミスが連続した原因を、実戦不足による疲労ではないとした高橋。「4回転に挑戦します」と宣言した7日のフリーが、現段階の力を測る指標になる。【栗林創造】


◇小塚、3回転半痛恨


小塚はSP5位と出遅れた。序盤のトリプルアクセル(3回転半)で転倒し「タイミングがずれた。調子が良くて他のことに気を取られ、タイミングを大事にしなかった」と悔やんだ。二つのステップもレベル2と取りこぼし「ロシア杯後、(上半身の動きを大きくするなど)レベルを取れるようにしたつもりだったが……」と首をかしげた。GPファイナル進出のためには表彰台を確保したいが、フリーに向けて「順位はあまり考えず、ジャンプ、ステップ一つずつをこなしていきたい」と心掛けていた。


アイスダンス


アイスダンスの規定はキャシー・リードクリス・リード組(川越ク)が7位で、ロシア杯優勝のメリル・デービスチャーリー・ホワイト組(米国)が首位。


<ペア>


ペアのSPではGP初出場の日本の高橋成美(アクアリンクちば)、マービン・トラン(カナダ)組は最下位の8位。ロシア杯2位の川口悠子アレクサンドル・スミルノフ組(ロシア)が首位に立ち、井上怜奈、ジョン・ボルドウィン組(米国)は4位につけた。


毎日新聞 2009年11月7日 東京朝刊)



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