グランプリシリーズ第2戦:ロシア大会
フィギュア:男子SPで小塚が2位 ロシア杯開幕
【モスクワ来住哲司】
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦・ロシア杯は23日、当地のアイス・パレス・メガスポーツで開幕した。
男子シングル
男子ショートプログラム(SP)は昨季グランプリ(GP)ファイナル2位の小塚崇彦(トヨタ自動車)が75.50点で2位につけた。06年トリノ五輪金のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)が82.25点で首位。
▽男子ショートプログラム
(1)エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)82・25点
(2)小塚崇彦(トヨタ自動車)75・50点
(3)ウェア(米国)72・57点
◇会心の演技、得点は伸びず…小塚
会心の演技と思ったが、得点は伸びなかった。「75.50」と表示されると、小塚は「アレッと思った」と首をかしげた。
冒頭の3−3回転連続ジャンプ、続くトリプルアクセル(3回転半)を決めるなど、ジャンプはすべて無難にこなした。その後も「自分の中では最初から最後までよく滑りきることができた」と納得していたが、実際は取りこぼしがあった。ステップは二つともレベル2、スピンは三つのうち二つがレベル3の認定。「ステップはレベル3、スピンはレベル4を狙った作りをしている。ステップはターンでしっかり踏めていなかったのか」と残念がった。
昨季はスケートアメリカでGP初制覇を果たし、GPファイナルで銀メダルと急成長を遂げた。バンクーバー五輪に向けてさらなる飛躍を期した今季だったが、「去年に比べて前半(総要素点)が出ていない。泣くほどではないが、ショックですね」。GPシリーズ第1戦・フランス杯男子SPで低得点に涙を流した織田信成(関大)を引き合いに出して報道陣を笑わせつつ、悔しさを表した。
その織田はフリーで逆転優勝。首位の元世界王者・プルシェンコとは6.75点差で、フリーに向けて「今日の(ジャンプの)ノーミスを自信にしてやりたい」と誓う。体力に不安を残す相手だけに、「プルシェンコ超え」は夢ではない。
【来住哲司】
4季ぶり戦線復帰のプルシェンコがトップに立った。4−3回転連続ジャンプ、トリプルアクセル(3回転半)と大技を立て続けに決めた一方、3回転ルッツが2回転になるミスもあり、後半はやや動きのスピードを欠いた。「そんなに悪くない。ミスはあったが、幸せだ。3年間はショーでしか滑っていなかったが、(試合の)雰囲気は素晴らしく、アドレナリンが出た」と満足そう。報道陣の「緊張したか」との質問に、「少し。僕はロボットではない。普通の人間なんだから」と口も滑らかだった。
ペア
ペアのSPは昨季GPファイナル覇者の※清、☆健組(中国)が65.40点でトップで、昨季世界選手権銅の川口悠子、アレクサンドル・スミルノフ組(ロシア)は61.62点で2位だった。
▽ペア・ショートプログラム
(1)※清、☆健(中国)65・40点
(2)川口、スミルノフ(ロシア)61・62点
(3)マクラフリン、ブルーベーカー(米国)61・34点
(※は、まだれの中が龍)
(☆は、にんべんに冬)
アイスダンスの規定は、昨季4大陸選手権優勝のメリル・デービス、チャーリー・ホワイト組(米国)が37.87点で首位に立った。
▽アイスダンス規定
(1)メリル・デービス、チャーリー・ホワイト(米国)37・87点
(2)カッペリーニ、ラノッテ(イタリア)32・73点
(3)ルブレワ、シェファー(ロシア)30・33点
女子のSPは昨季GPファイナル女王の浅田真央(中京大)、昨季世界選手権銅の安藤美姫(トヨタ自動車)が出場。
(毎日新聞 2009年10月23日 22時04分(最終更新 10月24日 0時20分))
小塚崇彦:2位発進 思わぬ低い点数に「あれっ?」
フィギュアスケートGPシリーズ第2戦ロシア杯第1日は23日、ロシア・モスクワのメガスポルトで男子ショートプログラム(SP)が行われ、10年バンクーバー五輪を目指す小塚崇彦(20=トヨタ自動車)はジャンプはすべて成功させたものの、得点が伸びずに75・50点の2位発進。06年トリノ五輪金メダリストで同五輪以来の国際大会復帰となったエフゲニー・プルシェンコ(26=ロシア)が82・25点で首位に立った。
演技終了と同時にほえた。観衆から送られる拍手の中で、右拳を力強く突き上げる。表情にも満足感を漂わせた小塚だったが、得点が出た瞬間、思わず首をかしげた。自己ベストの83・90点に遠く及ばない75・50点。先週、フランス杯に出場した織田はSPの予想外の低スコアに号泣したが、小塚は冷静に振り返った。
「気分良く最初から最後まで滑り切ることができた。(点数には)泣くほどではないですけど、ちょっと“あれっ?”って気持ちはありました」
ブラックジーンズ風の衣装で伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスのギターの旋律に乗った。冒頭の3回転−3回転など3度のジャンプはすべてクリーンに着氷。だが、2度のステップがともにレベル2の低評価を受け、3度のスピンでも最高評価のレベル4は一つだけ。これには「ステップはレベル3、スピンはレベル4を目指してつくっている。(ステップは)どこか失敗があったわけではない。ちょっと(レベルを)取り損ねた」と悔しさを隠せなかった。
表現力が問われる5項目の演技点でも、得点が伸びなかった。小塚自身はギターを演奏できないが、ジミ・ヘンドリックスのライブを動画サイトで観賞し、伝説の指さばきや存在感を目に焼き付けた。同氏のトレードマークのアフロ・ヘアまではいかなくても、パーマをあてて心は伝説のギタリストになりきった。だが、完成途上のGPシリーズ初戦で、まだジャッジの高評価を得るには至らなかった。
82・25点で首位に立ったトリノ五輪王者のプルシェンコとは、6・75点差でフリーを迎える。「6点差でも10点差でもあまり変わらない。フリーでちゃんとやったら点数は出るし、まずは自分がやらないと。フリーは、きょうノーミスでできた自信を持ってやりたい」。冒頭では4回転トーループに挑戦する。大技を決めて、あこがれのトリノ王者を超えるしかない。
(スポニチ 2009年10月24日)