グランプリシリーズ第1戦:フランス大会

caltec2009-10-18



男子シングルは、SPトップだったベルネルにミスがあったとは言え、今日は織田選手の日、になったような気がします。織田選手と言えば、世界ジュニアで優勝した「古事記」のフリープログラムとともに、コミカルなスーパーマリオのプログラムが印象に残っているのですが、コメディタッチな、今回のチャップリンのフリープログラムは、それらのプログラム以上に、とても彼らしく良いプログラムで、彼を代表する作品になるものだと思います。


個人的には昨シーズンの彼のプログラムがイマイチ織田選手の持つ「良さ」を引き出せていな印象を受けていたので、この彼らしいプログラムを引っさげて、どこまで世界の舞台で勝負できるか、期待しています。


ジャンプはある程度完成されているところまで来ていると思うので、今後はステップや繋ぎの部分にもう一工夫、二工夫することで、かなり味わいのあるプログラムになるのかなと思います。

フィギュアGP:男子は織田1位、女子の浅田は2位 仏杯


【パリ来住哲司】


フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦・フランス杯は最終日の17日、当地のベルシー多目的総合体育館で男女のフリーなど4種目が行わた


男子シングル


男子はショートプログラム(SP)2位の織田信成(関大)が自己ベスト更新の163.33点でフリー1位となり、計242.53点で逆転優勝した。GPシリーズ通算4勝目は高橋大輔(関大大学院)と並ぶ日本男子最多タイ。


◇織田がほぼノーミス演技でGP通算4勝目


織田がほぼノーミスの演技で自己ベスト(161.01点)を3年ぶりに更新する163.33点。フリー1位となり、逆転優勝を飾った。


冒頭の4回転トーループは「朝の練習で良くなかったので」と回避し、3回転ルッツに変える安全策を取った。トリプルアクセル(3回転半)−3回転トーループなどのジャンプをすべて成功。チャプリンの映画音楽メドレーの軽やかな曲に合わせ、コミカルな動作を交えた演技は観客の受けも良く、終盤のストレートラインステップでは手拍子が起こった。


前日のSPでは、表現力などを問うプログラム構成点が伸び悩み、ショックのあまり涙を流した。だが、この日は5項目のうち4項目で7点台後半をマークし「すごく満足している」。SPの曲調には「速くてしんどい」と漏らすが、フリーのテンポは「慌てずに自分のペースでできた」という。「4回転を入れないでどこまでできるのか、興味があった」というが、世界トップ級の技と滑りを持つスケーターとしての高評価を受けた。


GPシリーズ通算4勝は、高橋と並び日本男子として最多タイ。SPのプログラム構成点の低さ、4回転トーループの成功率など課題はあるが、決して万全な状態ではない中での優勝は、五輪本番に向けてこれ以上ない追い風だ。【来住哲司】


女子シングル


女子はSP3位の浅田真央中京大)が計173.99点で2位、SP2位の中野友加里プリンスホテル)が計165.70点で3位だった。SP首位の金妍児キム・ヨナ)=韓国=がフリーでも133.95点で1位となり、計210.03点で優勝。フリー、合計の得点とも自身の世界最高得点を更新し、GPシリーズ通算8勝目を挙げた。


▽女子

(1)金妍児(韓国)210・03点(ショートプログラム76・08、フリー133・95)
(2)浅田真央中京大)173・99点(58・96、115・03)
(3)中野友加里プリンスホテル)165・70点(59・64、106・06)


◇浅田、ライバル金妍児に完敗…「焦りはない」


今季初のライバル対決は、浅田の完敗だった。SP3位から順位を一つ上げたものの、金妍児に36点余りの大差をつけられた。


冒頭のトリプルアクセル(3回転半)−2回転トーループは成功。スピード不足で失敗した前日の反省を生かし「スピードを気を付けて、思い切っていこうと思った」という。だが、続く単発のトリプルアクセルは体の軸が傾いて回転不足の両足着氷。その後も三つのジャンプで回転不足があり、終盤のダブルアクセル(2回転半)では転倒した。


連日の失敗演技にもタチアナ・タラソワコーチは「これから良くなると確信している。マオ(浅田)は、昔からシーズン初めは大変」と強調した。しかし、表現力などを問うプログラム構成点で、5項目とも8点台の金妍児に対し、浅田は7点台。同コーチも「今日はマオとヨナを比べたくない。ヨナは全部できて、機械のようだった」と評した。


これで金妍児との直接対決は3連敗で、点差は試合ごとに広がる。浅田は金妍児の得点に「その得点は遠い」と嘆きつつも「焦りはない。まずはミスなく滑るのが一番」と目標を掲げる。だが、取り組みを根本的に変える必要はないのか。プログラムの難度を落として余裕を取り戻し、基礎点からの加点やプログラム構成点を稼ぎやすくする選択肢もある。23日開幕のロシア杯まで時間はないが、日本スケート連盟として五輪戦略を練り直す時期だ。【来住哲司】 


◇ミスしても世界最高点


圧勝した金妍児は計210・03点を出し、3月の世界選手権で出した世界最高得点(計207・71点)を更新。フリーの133・95点も07年ロシア杯で出した世界最高得点(133・70点)を上回った。それも序盤の3回転フリップを「氷に何かあったみたいに感じて、恐怖感があった」ために跳ぶのをやめる大きなミスを犯したうえ、スパイラルやスピンのレベル認定を取りこぼしながらの高得点。基礎点の54・95点から12・60点も加点を得たことが大きく、「驚くと同時に、今季初戦で自己ベストを出せてうれしい」と大喜びだった。

 
◇中野ミス多く3位


SP2位の中野はミスが目立ち、順位を一つ下げた。3回転ルッツは回転不足で両足着氷になるなど二つのジャンプで回転不足があり、終盤の3回転サルコウもステップアウトした。「ミスをしてはいけないところでミスをしたのが反省点」と振り返った。3日のジャパンオープンで転倒した際に左肩を亜脱臼し、練習内容の変更を余儀なくされ「スタミナの部分で厳しく感じた」という。ただ、「肩(のけが)がなかったら、もっとやれたかというと疑問を感じる」とも話し、言い訳を拒んだ。



アイスダンス


アイスダンスオリジナルダンス(OD)まで首位のテッサ・バーチュー、スコット・モイヤー組(カナダ)が計197.71点で制し、ペアはSP2位のマリア・ムホルトワ、マキシム・トランコフ組(ロシア)が計192.93点で逆転優勝した。 


アイスダンス


(1)テッサ・バーチュー、スコット・モイヤー(カナダ)197・71点(規定38・41、オリジナルダンス61・91、フリー97・39)
(2)ペシャラ、ブルザ(フランス)181・64点(35・53、56・34、89・77)
(3)S・ケア、J・ケア(英国)177・11点(36・13、54・73、86・25)


【共同】


毎日新聞 2009年10月18日 19時11分(最終更新 10月18日 19時38分)


女子シングルはキム・ヨナの貫録勝ち。精神的に余裕が生まれたせいなのか、メイクが上手くなったせいなのか、はたまた◎◎のせいなのかは定かではないですが、何ともいえない気品漂うが漂う演技でした。衣装・メイク・音楽・振付・そして表情の作り方。全ての要素を計算し、とてもゴージャスな世界観を作りだすことに成功していました。


彼女は、もともと持っているジャンプの質がいいので、技術面でも加点要素がある上に、作品としてある「世界観」を表現できる点はすごいの一言です。


浅田選手が、スケートの良さを活かしながら「音楽そのものを表現しよう」とするタイプだとしたら、キム選手は音楽の向こうにある世界観を表現できるタイプの選手だと思います。表現のスケール自体は実は浅田選手のほうが大きいものを持っているのかもしれない、でも、完成度やアピール力から言うと、断然キムヨナ選手の方が優れているような機がするのです。 


浅田選手が本調子になり、スケールの大きなあのフリープログラムの音楽を十二分に表現できるようになったとき(もちろんジャンプ含め技術要素も完璧であることは大前提ですが)、かなりいい勝負をすることになるのかな、と思います。バンクーバオリンピックまで、彼女達の戦いを見続けることができることは、実は幸福なことなのかもしれません。


フィギュアスケート:真央 大差2位…キム・ヨナに脱帽


フィギュアスケートGPシリーズ第1戦フランス杯最終日は17日、フランス・パリのベルシー体育館で女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)3位の浅田真央(19=中京大)はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に今季初めて成功したものの、その後のジャンプでミスを連発。フリー2位の115・03点で、合計も173・99点の2位に終わった。フリーで133・95点、合計で210・03点と、ともに世界歴代最高得点をマークして優勝したキム・ヨナ(19=韓国)に過去最大の36・04点差をつけられる完敗で、直接対決は3連敗となった。


笑みすら浮かぶ表情とは対照的に、現実は厳しかった。世界歴代最高得点をマークしたキム・ヨナに3連敗を喫した上に、36・04点差は基礎点8・20点のトリプルアクセルを4回決めても及ばない大差。今季初対決でたたきのめされた浅田は「自分はまだまだその得点(210・03点)に届かない。すごいなあと思う」と脱帽するしかなかった。


今季初戦のジャパン・オープン(3日)で着た青と黒から、赤と黒の衣装に替えてラフマニノフ前奏曲「鐘」の重厚な調べに挑んだ。前日のSPで失敗したトリプルアクセルは、2回転トーループとのコンビネーションで決めた。今季初成功に「跳べたことで1つ乗り越えられた」と手応えを口にしたが、続く2度目のトリプルアクセルは回転不足。その後もジャンプで手をつくなどミスを連発した。


3回転ルッツやサルコーなど苦手なジャンプを外し、トリプルアクセルで高得点を狙う演技構成も、SPと合わせて3度挑んで成功は1度だけ。練習で成功する大技が決まらない理由について、タチアナ・タラソワ・コーチは「表面は大人だけど、心は非常に敏感」と浅田のメンタル面の弱さを指摘。02年ソルトレークシティー五輪王者のヤグディンら精神力の強いロシアのトップ選手は「鉄の神経」と例えられるとあって、「鉄の神経を持つこと」が必要と強調した。


23日開幕のGPシリーズ第2戦ロシア杯に向けては連日、午前はSP、午後はフリーのプログラムを練習して出直す予定。「次の試合ではSPでミスをしないように。今回(トリプルアクセルを)跳べた感覚のまま臨めたらいい」。浅田は前向きに話したが、海外メディアからはジャンプが決まらないと見栄えがしないフリーの選曲を疑問視する声もあり、このままではライバルの背中がかすむばかりだ。


≪タラソワ・コーチは及第点≫


メンタル強化を求める一方で、タラソワ・コーチは浅田のフリーに及第点を与えた。「ジャパン・オープンと比べたらずっと良く滑れた。きょうは真央が自分に勝ったことがうれしかった」。ただ、ジャンプを1つ欠きながら高得点を出したキム・ヨナについて聞かれると「きょうの真央とヨナを比べたくない。ヨナは機械的な演技でした」と険しい表情。GPシリーズ連戦となる日程にも不満があるようで、「練習する時間も休む時間もない」と話していた。


スポニチ 2009年10月19日)

焦点:直接対決3連敗 遠のくライバル


浅田真央金妍児の直接対決◇


             浅田真央      金妍児

2006年GPファイナル(2)172.52 (1)184.20

  07年世界選手権  (2)194.45 (3)186.14

     GPファイナル(2)191.59 (1)196.83

  08年世界選手権  (1)185.56 (3)183.23

     GPファイナル(1)188.55 (2)186.35

  09年四大陸選手権 (3)176.52 (1)189.07

     世界選手権  (4)188.09 (1)207.71

     フランス杯  (2)173.99 (1)210.03


 (注)シニアの国際大会のみ、かっこ数字は順位で右は合計得点【共同】


毎日新聞 2009年10月19日 東京朝刊)


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