情熱大陸

caltec2008-10-07



10/5放送の「情熱大陸」は、沖縄にある「よみたん自然学校代表」、「小倉宏樹」。


番組HPを見るとこのような説明がある。

沖縄県読谷村。小倉はこの地でよみたん自然学校を運営している。学校のメインの活動は3歳から5歳までの「幼児の学校」。しかし、よみたん自然学校には一般的な幼稚園のようなカリキュラムはない。今日やることは子どもたちが自分自身で決め、小倉はそれを見守りほんのちょっと手助けするだけだ。この学校には「ルール」も最低限のものしかない。大人側から、こうしなさいと言うのではなく子どもたち同士でルールを作り上げていく。番組では、小倉の今年の夏の2ヶ月間を撮影。神戸に生まれ、名門大学、一流商社とエリート街道を歩んできた小倉は、なぜ30歳を目前にあっさりと自分のキャリアを捨て、沖縄で自然学校を開いたのか。「こどもたちがイキイキと過ごしてくれてたらそれでいい」…子どもたちと真剣に向き合う姿を追った。


灘中学、灘高校、東大、一流商社と、いわゆる「勝ち組」のエリート街道を歩んできた小倉は、ふとあることに気付いた。「過去に人がやったことをまねて、効率良くこなすことは人より優れている。しかし、自分で自由に何かすることが全くできない。何をしたらいいかわからない。」 彼と同じ言葉を語った、友人が僕に入る。やはり一流高校、一流大学を出、一度聞いたことは忘れず、驚くほど勉強ができる。でも美術の時間の、創作画はとても苦手だった。「決められたことは人より早く、上手にできる。でも、好きにしていいといわれても、何をしていいかわからない。」エリートにはエリートの悩みがあるのだ、と当時の僕は感じていた。


この理由を彼は、彼が今まで受けてきた、日本で「正しい」と思われる教育によるものだ、と考え、沖縄にて「よみたん自然学校」を開校したと番組の中で語っていた。いわば自分と同じような子供を作らないために、自らが教師となって子供を育成しようというのだ。なので、彼の学校では、全てのことが子供の自主性に任されている。時間割もない、○○をしてはいけない、というルールもない。意地悪をした子供が自発的に謝るまで、謝ることも促さない。全て子供の自主性任せ。とても忍耐のいる作業だし、番組の中で彼が語るように、いろいろと学ぶことが多い作業だとも思う。


ただ、僕には彼のこの生き方が、教育を通じての自分の(仮装)再育成のような印象を受けた。今から自分を変えることは難しい。子供を自分に見立てることで、自分のような大人を生み出さないことで、自分を再生したい、そう感じていると思えたからだ。


いろいろな考え方の人がいるし、生き方に正解も間違いもない。なので、彼のこの考えを否定するつもりはないが、僕個人としては、「躾」を教えるのが家庭であり、「社会で生きるための、集団社会の中で生きていくためのルール」を学ぶ場が学校だと思っている(国語・算数などの勉強は、学校に行かなくても学べると思うし)。


要はそれらを自分に取り入れた上で、それを受け入れるのか、違うと感じ個人の考えを貫くのか、自分の生き方を自分で決められる、考える素地を作ることが、彼の求めている教育であり、人物形成なのだと思う。それを実現する方法論が、現在彼が行っている「よみたん自然学校」で実現できるのか。。。答えは数年後、数十年後になるだろうが、楽しみでもアリ、少し怖い気もする。


欧米の教育の見てくれを真似ただけの「ゆとり教育」大反対論者だった僕としては、ゆとり教育は失敗したと今でも思っているが、彼の「よみたん教育」が失敗しないことを祈るばかりだ。


ルールやマナーを学ぶことは大事。でもそれに従うだけの思考回路を植えつけるのは間違い。常に何かを感じ、自分なりに考え、その考えをきちんと自分で理由付け、行動する。こういう思考方法、行動パターンをもった人材形成を行うべきだと思うのだが、、、教育は難しいね。