世界選手権

caltec2008-03-21



女子シングルは、ショート、フリーともに2位ながら、合計点数で浅田真央が世界選手権初優勝。昨年の安藤、今年の浅田と日本人の連続優勝になりました。


ただ、今回の結果は、浅田本人も満足いっていないのかな、という気もします。活動拠点を名古屋に移し、コーチが不在の中の調整で臨んだ今大会。プロトコルの細かいところまで見ると、スパイラルがショート、フリーともにレベル1であったり、本来レベル4を取れるはずのスピンがレベル3になってしまったり、と細かな「取りこぼし」が多くなってきているように思えます。一度きちんとプログラム全体の密度を上げる必要があるような印象を受けました。


逆に各要素の精度を上げることで得点アップに努めた中野選手ですが、彼女の場合は、ジャンプでの加点が他の上位選手と比べると低いのが最終的にあと一歩のところになってしまった原因かなという気がします。PCS(昔で言うところの芸術点)は高い評価を得ているので、巻き足のジャンプや、降りたあとの流れなど、ジャンプの質の向上による加点が増えればもっと楽に勝てる気もしますが、これは長年の癖だから難しいかなあ。。。。


点数を見ると、1〜3位(180点以上)、4〜6位(170点台)、7位以下(150点以下)と3つのグループに大別できますが、よくよく考えるともともとの選手の持っている能力どおりの結果なわけで、安藤選手のように思うような結果が出せなかった選手は除くとすると、順位については妥当な結果と言えるのかもしれません。

世界フィギュア浅田真央が初V 日本女子、2年連続頂点


【イエーテボリ(スウェーデン)来住哲司】


女子シングル


フィギュアスケートの世界選手権第3日は20日、当地で女子フリーがあり、17歳の浅田真央(愛知・中京大中京高)が185.56点をマークし、逆転で初優勝を果たした。昨年の安藤美姫トヨタ自動車)に続いて日本女子が2年連続で世界の頂点を極めた。


日本選手では89年の伊藤みどり、94年の佐藤有香、04年の荒川静香が世界女王となっており、浅田真は5人目の快挙。


ショートプログラム(SP)2位の浅田真は、フリー演技冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の踏み切り前に転倒する失敗を、その後の演技でカバーし、SP1位のカロリナ・コストナー(イタリア)を逆転した。コストナーは184.68点で2位。


SP3位の中野友加里早大)は4位、SP8位で左足を痛めていた前回女王の安藤は、フリー演技の途中で棄権した。日本は次回出場枠3枠を確保した。SP首位のカロリナ・コストナー(イタリア)が2位、SP5位の金妍児キム・ヨナ、韓国)がフリー1位で3位に浮上し、2年連続銅メダル。


浅田真はシニアデビューした05〜06年シーズンのグランプリファイナルで優勝したが、年齢制限のため06年トリノ五輪には出場できなかった。昨年の世界選手権で安藤に次ぐ2位となり、今回が2回目の世界挑戦でチャンピオンの座についた。


中野友加里


中野は惜しくもメダルを逃した。大きなミスなく滑りきり、演技後は観客からこの日一番の大歓声と拍手に包まれたが、トリプルアクセルと3回転フリップが回転不足となり、得点は自己ベスト(113.49点)を更新したものの伸びなかった。「先生(佐藤信夫コーチ)から『今日の出来なら何も言うことはない』と褒められた」と達成感を漂わせつつ、「メダルを取れなかったのは残念」。表現力などを問うプログラム構成点59.32点は浅田真に次ぐ2位で、課題とされてきた面でも進歩を見せた。練習中の3−3回転連続ジャンプを跳ばず、それも基礎点の低さにつながったが、来季以降のさらなる成長に期待を持たせた。


◇伊東秀仁・日本スケート連盟フィギュア強化部長 


浅田の転倒はびっくりしたが、あそこからほぼノーミスで滑れるのはすごい。中野は最高の演技。感動した。安藤は3回転サルコウで転んで痛みが出たと思う。


◇世界選手権の日本選手メダリスト◇

77年東  京   男子銅 佐野 稔
79年ウイーン   女子銅 渡部絵美
89年パ  リ   女子金 伊藤みどり
90年ハリファックス女子銀 伊藤みどり
94年千  葉   女子金 佐藤有香
02年長  野   男子銅 本田武史
02年長  野   女子銅 村主章枝
03年ワシントン  男子銅 本田武史
03年ワシントン  女子銅 村主章枝
04年ドルトムント 女子金 荒川静香
06年カルガリー  女子銀 村主章枝
07年東  京   男子銀 高橋大輔
07年東  京   女子金 安藤美姫
07年東  京   女子銀 浅田真央
08年イエーテボリ 女子金 浅田真央


アイスダンス


アイスダンスオリジナルダンス(OD)でキャシー・リードクリス・リード組(川越ク)は総合18位、イザベル・デロベル、オリビエ・シェーンフェルダー組(フランス)がトップを守った。


毎日新聞 


安藤選手は、予想通りの展開になりましたね。。。 気持と身体のバランスがまだ上手く取れていないのかな、とは思いますが、「厳しい練習を積んできたこともあり、試合に出ないのは納得がいかなかった」とインタビューで語る姿には、オリンピック前の頃よりもずいぶんと成長した、試合に対する臨み方が伺えました。彼女の育ての親といってもいい門奈コーチも駆けつけている中、自分なりにディフェンディングチャンピオンとしての維持を魅せたかったのかもしれません。 怪我をおして本番に臨んだといえば、アルベールビルの前シーズンの世界選手権の伊藤みどり選手を思い出します(ウォームアップ練習で怪我をし、かつコンビネーションジャンプのセカンドジャンプでフェンスから外に飛び出してしまった。。。)。負けん気の強さが、来シーズンへのステップアップに繋がるといいと思います。

世界フィギュア:安藤、涙止まらず「ごめんなさい」


フィギュアスケートの世界選手権第3日の20日、安藤美姫の2連覇への挑戦は、途中棄権で終わった。午前中の公式練習前のアップ中、ジャンプした際に左足ふくらはぎを肉離れ。本番に臨んだものの、最初の3回転ルッツがステップアウトし、続く3回転サルコウで転倒。1分余りで演技をやめてジャッジ席に向かい、泣きながら棄権を申し出た。昨季の世界女王も今季は右肩痛などもあり、1試合も勝てずに終わった。


日本チームの阿部鉄雄チームリーダーによると、ニコライ・モロゾフ・コーチから欠場の申し出があり、棄権の手続きを進めた。ところが、棄権を申請する書類への署名を安藤が拒み、本番直前の6分間練習で判断することになったという。


安藤は「ハードな練習をしてきたつもりだったし、日本で応援してくれる人もいる。感謝の気持ちを滑りたかった」と強行出場した理由を説明した。「けがも多いし、スケーターとしてどうしていけばいいか考えたい。本当にごめんなさい」と涙が止まらなかった。


【来住哲司】(毎日新聞

世界フィギュア:真央、いきなり転倒 あきらめず挽回


フィギュアスケートの世界選手権は第3日の20日、浅田真央のフリー演技は大失敗で幕を開けた。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぼうとした瞬間に転倒し、滑って壁にぶつかった。「コケた瞬間は何も考えることができなかった」。次のフリップ−トーループの3回転連続ジャンプに向かう時は「『もうダメだ』と思った」のも当然だ。


ところが、その3−3回転を高く舞うと、続く連続スピンは最高難度のレベル4認定。その後も3−3回転連続ジャンプで回転不足を取られたほかはノーミスで通した。


トリプルアクセルの基礎点7.5点が0点になり、さらに転倒によるマイナス1点。絶望的な状況の中で「あきらめずに、他の所で挽回(ばんかい)しよう」と要素を丁寧に一つずつこなし、大きなミスなく通して金メダルを手繰り寄せた。


ライバルたちの不調にも助けられた。SP首位のコストナーは手をつくなどジャンプで4度もミス。フリー1位の金妍児も3回転ルッツが1回転となったうえ、SPで4点以上の開きがあった。


浅田真は表現力などを問うプログラム構成点が唯一60点台(60・57点)をマーク。昨夏、トリノ五輪金の荒川静香が師事したロシア人のタチアナ・タラソワコーチの指導を10日間受け、体を大きく使う動きを身につけた。


さらに今年から拠点を米国から地元・愛知県に戻し、昨季から師事してきた米国在住ロシア人のラファエル・アルトゥニアンコーチから離れた。先月以降、時折指導した小川れい子・日本スケート連盟フィギュア強化副部長は「私はコーチじゃない。彼女はだれが教えてもジャンプは跳べますから」と、その才能に驚きを隠さない。


SP、フリーとも2位で、専属コーチ不在の影響はあった。ただし、大舞台に一人で立ち向かった経験は、精神面でも大きなプラスになったはずだ。「終わった時はすごくホッとした。でも、その後でトリプルアクセルを跳べなかったので悔しくなった」。この負けん気の強さ。バンクーバー五輪でも、金メダルの期待の重圧に打ち勝つはずだ。


05年にGPファイナルを制したころ、ジャンプの失敗はほとんどなかった。その後は身長が伸びるなど体型も変化し、ミスも珍しくなくなった。それら苦い経験を味わってきたからこそ、この日の巻き返しができた。練習拠点を米国から地元・愛知に移し、専属コーチ不在のハンディも克服し、伊東秀仁・日本スケート連盟強化部長は「精神的に強くなった」と舌を巻いた。


関係者によると、転んだ時に靴のブレード(刃)で左足付け根を切った。2月の4大陸選手権後には右ひざを痛めていた。だが、報道陣には一切明かさなかった。「これからいっぱい食べたい。何を? 食べたい物を全部!」と話す笑顔は、弱みを見せない強さに支えられていた。


【来住哲司】(毎日新聞