ロシア杯


女子シングルは、キム・ヨナの圧勝で終わった印象を受けた。フリーの出来としては、キムヨナ以外はロシェットの出来が良かったように思う。


村主は今までとプログラム構成は変わりなし。プロトコルを見る限り、後半の3回転ジャンプが軒並み回転不足と判定され、ダウングレードされ2回転扱い、そこから減点されたのが大きく響き、不本意な結果となったように思う。
昨年と比べ、スピンで高得点を得るようになったので、ジャンプの調子がよければ加点をもらえる質は持っているように思うのだが、PCSの点数が昨年から大幅に下がっているのが痛い気がする。


これは、昨年のグランプリファイナル、四大陸選手権での不調からジャッジの中での彼女の評価が下がっていることの表れかもしれない。ロシェット、コルピ、キムヨナなど他の出場選手の演技と比べて、走って→飛ぶという印象が強く、かつ 昔と比べてスピードがないのが、さらにジャッジからの評価を悪くしている印象を受けた。


逆に中野友加里は年々スケーティング力を上げ、ジャッジの間での評価も高くなってきている。ただトリプルアクセルをもってしてもまだ自力優勝できる扱いではないので、ミスの少なさが今の好成績を得ているところだろうか。より自分の個性をアピールできる演技・技の磨き上げを行うことで、もう一皮向けた、世界のトップスケーターになると思う。

ロシア杯 金妍児が圧勝 中野2位、ファイナルへ


フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦、ロシア杯第2日は24日、当地で女子フリーを行い、中野友加里早大)が合計172・77点で、第2戦のスケートカナダに続く2位となり、来月のGPファイナル(トリノ)出場権を獲得した。


中野は2シーズンぶりのGPファイナル進出。


第3戦の中国杯を制した金妍児(韓国)がショートプログラム(SP)からの首位を守り、197・20点で圧勝しGPファイナル進出。SP4位の村主章枝(avex)は148・15点で5位だった。


◇ため息誘う25点差

高得点を出した中野の次に滑った金妍児が、さらに上を行く好演技で圧勝した。197・20点は自己新で、2位の中野とは25点近くも差がついた。


序盤で鮮やかな3回転−3回転の連続ジャンプを決め会場のため息を誘うと、細身の体が大きく見えるダイナミックな滑りで魅了した。第3戦の中国杯に続く今季GP2勝目を挙げ「ジャンプが不安定で心配だったが、自己新が出たし、GPファイナルに行けてうれしい」とほほ笑んだ。


トリプルアクセル決め 充実の滑り、自己新に涙

体の柔軟性を生かしたドーナツスピンで会場を沸かせて演技を終えると、自然と笑みがこぼれた。中野が会心の滑りで2シーズンぶりのGPファイナル出場を確定させた。これまでの自己最高得点は第2戦のスケートカナダで出した169・43点。「172・77」が表示されると、思わず手をたたいて涙ぐんだ。


女子で跳べる選手はわずかという大技、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に冒頭で挑戦。鮮やかに着氷して「トリプルアクセルを跳べたのが一番うれしい」と勢いに乗った。3回転ジャンプを次々跳び「緊張すると体が動かなくなる」との不安を感じさせなかった。後半の3回転−2回転の後には2回転ループを付けるほど充実していた。


来月のGPファイナルはトリノの五輪会場で開催される。同五輪代表を逃した中野が特別な感情を抱く舞台だ。前半の2度の3回転ジャンプが回転不足と判定されたことを反省した22歳は「まだ少し練習する時間があるので、レベルアップしたい」と口元を引き締めた。


▽女子

(1)金妍児(韓国)197・20点(ショートプログラム63・50、フリー133・70)
(2)中野友加里早大)172・77点(60・50、112・27)
(3)ロシェット(カナダ)169・91点(50・56、119・35)
(5)村主章枝(avex)148・15点(56・18、91・97)


アイスダンスオリジナルダンスを行い、規定1位のオクサナ・ドムニナ、マキシム・シャバリン組(ロシア)が103・25点で首位を守った。


毎日新聞 2007年11月25日)