冬季アジア大会
女子フィギュアは、予想通り、村主・中野の佐藤門下生2人のガップリヨツですね。実績で言えば村主。勢いで言えば中野。どちらが勝つか? ここ数試合、村主選手がフリーの出来があまり良くないので、優勝は村主選手のフリーの出来次第なのかなあ、と勝手に予想します。中野選手の点数はある程度計算できそうなので。まあ、この2人が1位、2位なのは間違いないとは思うのですが。
冬季アジア大会:村主トップ、中野2位 フィギュアSP
長春冬季アジア大会は第5日の1日、フィギュアスケートの女子ショートプログラム(SP)は村主章枝(avex)が58.50点でトップに立ち、中野友加里(早大)が1.14点差の2位につけた。アイスダンス規定では渡辺心、木戸章之組(新横浜プリンスク)が首位。男子SPは中庭健介(パピオク)が4位、小塚崇彦(愛知・中京大中京高)が5位となった。
◇「姉妹弟子」がノーミスの演技披露
普段から新横浜のリンクで、佐藤信夫コーチの指導を受ける村主と中野。「姉妹弟子」が、ほぼノーミスの演技を披露し、女子SPの1、2位を占めた。
6分間練習ではジャンプが不安定だった村主だが「(練習の)最後の方は(感覚が)合ってきましたから」と不安はなかった。「ボレロ」の曲に乗り、冒頭の3回転ルッツ−2回転トーループの連続ジャンプ、続く3回転フリップを成功。終盤のダブルアクセル(2回転半)の姿勢がやや崩れたが、高速スピンからのストレートラインステップで観客を引き込んだ。1番滑走の中野もジャンプをすべて成功させ、締めは「世界一美しい」と評されるドーナツスピン。「こんなに拍手をもらえるとは」と本人も感激するほど会場をわかせた。
佐藤コーチが「練習のしすぎで、ブレーキをかけるのが大変。注意すると『何で練習しちゃいけないんですか』なんて言ってくる」と苦笑する2人。中野が「一緒に練習してすごく勉強になるし、刺激になる」と敬う先輩の村主が、この日は一歩先んじた。中野が本来のスピードをやや欠いたのに対し、村主は表現力などを問うプログラム構成点で上回った。それでも点差は1点余りだ。
「余分な力が入った。要所で細かいミスがあった」と反省点を挙げる村主に対し、中野も「ビールマンスピンの回転に速さがあれば……」と満足はしていない。負けず嫌いで向上心にあふれた2人が、フリーで再び火花を散らす。
◇中野「和風の美」で
中野は首位・村主とわずか1・14点差の2位と好位置につけた。映画「SAYURI」のテーマ曲を使い、和風の美を演出。全体的にスピード感にやや欠け、今季取り入れたビールマンスピンも回転の速さは乏しかったが、美しいドーナツスピンで締めくくると観客の盛んな拍手を浴びた。「出来るなら頂点に立ちたい」と臨んだ今大会。逆転優勝のかかる2日のフリーに向け、「トリプルアクセル(3回転半)に挑戦したいが、当日の練習を見て決めたい」と、大技挑戦は明言しなかった。
◇「新採点」対策、手応え
今大会の女子の中で、世界選手権でメダル通算3個獲得の村主は実績抜群の存在。ベテランらしい落ち着いた演技を披露し、SP首位に立った。
本人は満足していない様子だが、全体的に大きなミスはなく、ダブルアクセル(2回転半)の着氷がわずかに乱れたくらい。この日の得点は各選手とも低く抑えられた傾向があるが、それでも表現力などを問うプログラム構成点は5項目中2項目を7点台に乗せた。
今季は「新採点方式で得点が伸びない」という課題と向き合ってきた。3−3回転連続ジャンプやビールマンスピンなど高難度の技がない中で、どう得点を稼ぐか。「“私(わたし)改革”の方向性は見えてきた」というが、昨年12月の全日本選手権は4位に終わり、世界選手権(3月、東京)代表から落選。今大会と次週の4大陸選手権(米国・コロラドスプリングス)で今季を締めくくる。
この1カ月間は「(個々の要素の)精度を上げることを心掛けてきた」という教え子に対し、佐藤信夫コーチは「もっと自信を持ってほしい。一つ二つミスがあっても、忘れてガンガン行かないと」と指摘する。
2位・中野と1・14点差、3位の地元・中国の許斌〓とも2・28点差の接戦。フリー曲に「白鳥の湖」を使った前回は荒川静香(引退)に敗れて2位に甘んじ、報道陣に「白鳥は順位を気にしない」と“語録”を残したが、今回こそ素直に喜びをコメントできる結果がほしい。
毎日新聞 2007年2月1日 22時55分 (最終更新時間 2月2日 1時14分)