冬季ユニバーシアード
冬季ユニバーシアード:トリノ大会 フィギュアスケート 鈴木、涙の金−−女子
◇摂食障害乗り越え
ユニバーシアード冬季大会第4日は20日、当地などで行われ、フィギュアスケート女子ではショートプログラム1位の鈴木明子(東北福祉大)が148・24点で初優勝した。今大会の日本勢の金メダルは2個目。
◇荒川にあこがれ
大きな瞳に涙があふれた。演技を終えた鈴木は、SPで2位だった地元イタリア選手の得点が下回ったことを確認すると、長久保コーチとしっかり抱き合った。
小さなミスはあったが、5種類の3回転ジャンプをちりばめて得点を稼いだ。「トリノでも拍手をもらえたら」と楽しみにしていた終盤のストレートステップでもスピードは落ちなかった。演技を終えると、歓声と一緒になった拍手が待っていた。会心の出来に、ガッツポーズが飛び出た。
3年前、摂食障害に陥り、スケートができない日々が続いた。立ち直るひとつの契機が、04年にテレビで見た世界選手権を制する荒川静香さんの姿だった。気が付くと、涙が止まらなかった。「わたしも、しーちゃんみたいになりたい」。止まっていた時計の針が再び動きだした。
長久保コーチは荒川さんを育てたことでも知られる。荒川さんが五輪で金メダルを手に入れたパラベラ競技場で、愛弟子が優勝。不思議な縁に同コーチは「静香が導いてくれたのかもしれない」とつぶやいた。
苦難を乗り越えての金メダル。鈴木は「やっと階段をひとつ上れた」と笑顔を見せた。
【フィギュア】▽女子
(1)鈴木明子(東北福祉大)148・24点(ショートプログラム50・40、フリー97・84)
(7)梅谷友紀(関学大)123・20点(43・23、79・97)
【共同】毎日新聞 2007年1月22日 東京朝刊