ダリ回顧展

caltec2006-10-18



平日昼間なのに、人、人、人。ちょっと普通の展覧会ではありえない程の集客。これが「ダリ回顧展」でまず感じたこと。さすがフジテレビの主催する展覧会。伊達に番組が終わるたびにスポットCMを流しているわけではない。客層も普段展覧会にはこなさそうな若い人たち(デート中?)が多く、世間の関心を集めている展覧会であることがわかる。


さて、肝心の展覧会の方だが、2大ダリ美術館である「ガラ=サルバドール・ダリ財団」(スペイン)と「サルバドール・ダリ美術館」(フロリダ)の収蔵作品を中心に、ダリの少年期〜晩年までの作品を網羅的に集めました、という点ではダリの作風の変遷を知ることができ、有意義なものだったと思う。ただ、宣伝の割に大作はなく、またダリの作品を集めた展覧会という意味では、数年前に今は亡き三越美術館(新宿三越新館:今の大塚家具)で開催されたダリ展のほうが作品の量・質共に勝っていたような気がする。


ダリの作風が確立する前の若い頃の作品が今回の展覧会では面白かった。印象派の影響を受けた作品、マグリットの模倣とも思われる作品、キュビズムの作品、ピカソ新古典主義的な作品。。。こうした作品を描きやがてダリのあの独特の作風へ移っていくのだが、シュールレアリズムとの出会い以前に、ダリの作風の萌芽が見られた(ダリ作品のモティーフが作品の中に現れている)のが興味深かった。


もっとコテコテのダリ作品が来日しても良かったのになあ、と平日に来たにもかかわらず、大勢の観賞客の中で思った。しかし、じっくりと作品と対峙したい場合、いつ来ればいいんだろう?これだからテレビ会社のイベント事業部が絡む展覧会は嫌(怒)。


満足度:★★★☆☆