The Last 5 Years

caltec2005-07-15



シアターX(カイ)にてミュージカル「The Last 5 Years」を観劇。率直な感想はと言うと、、、ミスキャストではないか、というのがまず第一点。というのも、このミュージカルは2人舞台の作品であり、ジェイミー(山本)とキャサリン(NAO)は別々の時間軸を舞台上では生きていく。ジェイミーは過去から現在へ。キャサリンは現在から過去へと刻とは逆に進んでいく。


この設定から考えて、キャサリン役の方が圧倒的に難しいのだ。現在(別離)から過去(出会い)へと時間軸とは逆に芝居を進めながら、観客を納得できるような演技をするのはなかなか容易ではない。もう一方のジェイミーが過去から現在へとわかりやすい時間軸で演技を進めていくから、その難しさはなおさらである。そう考えると、ジェイミー役に(若手の中では舞台経験豊富な)山本耕史、キャサリン役に新人のNAOというキャスティングは、逆な気がする。実力者が女性役をやるべきだと思うのだ。この作品の成功の鍵はキャサリンが握っていると言ってもいいのだから。


あとは、新人だから当たり前なのかもしれないが、NAOの演技がとても気になった。歌は下手ではない。上手いと思う。ただ、感情を歌に乗せて歌うという点ではまだまだ、なのかもしれない。どの歌も同じような調子で「歌っている」だけなのだ。一方の山本耕史が「演じている」と感じさせる歌唱法なので、両者のこの対比は大きい。あとは、まだまだハジケられていない部分が多く、コメディタッチで踊るダンスのノリもイマイチ。。。もっと自分を捨てて笑いを取るくらいの壊れぶりを見せてもいいのだが、NAOは一定の範疇を出ずに、あくまでも美しくみずみずしいままでいる、、感情・表情・演技・歌唱の振幅が山本耕史と比べ少ないので、どうしてもあっさりとした印象になってしまう、それがとても損をしている気がした(出演者がもっと大勢いる舞台であれば、その振幅の幅がこれほど目立たなかっただろうし、もっと良い印象を持っていたと思う)。歌手としては合格だが、ミュージカル女優としてみると・・・まだまだ成長する余地は十分にある、という評価だと思う。


また、山本耕史も奮闘してはいるものの、『RENT』や『tick, tick, boon...』などの彼が過去に出演した作品での出来と比べると、本作品での役作りは上出来とは言えない気がした。個人的にはマリウス役のほうが、まだ似合っていたと思うのだが。。。 RENTへの出演をきっかけとして自分の出演する作品にこだわるようになったというが、選びすぎて逆に失敗しないことを祈るばかり。本人は「どうか?」と思っていても、実は意外とハマる役柄もあるとは思うので。。。今回もロック調、ミュージカル風など、複数の歌い方を使い分けていたが、人気・実力はある人だと思うので、今後の舞台に期待したい(次は『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ですね)。


昨日までは涼しかったのに、今日はメチャクチャ暑かった!いよいよ夏到来か。。。??