Classic:フランクフルト放送交響楽団


フェスティバルホール@大阪にてフランクフルト放送交響楽団の公演を聴く。毎年開催している「東芝グランドコンサート」の公演なり。今回の公演の目当ては諏訪内晶子のメンコン。たしか以前に彼女のメンコンをコンサートで聴いたのは20世紀だったような気がする。


演奏曲は①エグモント(ベートーベン)②バイオリン協奏曲(メンデルスゾーン)③交響曲第1番「巨人」(マーラー)というドイツ系プログラム。


エグモントは演奏会の序奏のようなものなので、オケもある程度控え目に抑制されて演奏していたように思う。僕には正直少し物足りなかった。


2曲目のメンコン。毎度の事ながら、まずバイオリンソロの出だしの音の大きさに驚く。諏訪内さんの演奏を聴くと必ず、彼女のストラディバリウスの音の大きさに驚くのだが、今回の公演でも驚いてしまった。彼女の楽器ストラディバリウスのドルフィンはとても艶やかな音がでる。第一楽章を情緒たっぷりに歌い上げ、第二楽章の繊細な表現、高音の音色などは、彼女の持ち味をいちばん発揮できる箇所で、さすがだなあ、この音色を聴くためだけにお金を払ってもいいなあ、とさえ思ってしまう。ただ、このメンコンには、彼女がドルフィンの前に使っていたストラディバリウスの方が音色が合っているように僕には思えるのだけれど、2つの楽器を曲によって引き分けていくのは演奏家にとっては大変だからなあ。ドルフィンの艶やかな音色も好きだけど、前のストラディバリウスの中低音の深い響きも好きだったんだよなあ。メンコンなどは特に自分の世界に酔う演奏をする演奏家が多い中で、彼女のようにしっかりと楽曲と自分との間を取り、音楽を構築して演奏していくタイプも貴重な存在なのだよなあ、と改めて思った。


休憩のあと、最後はマーラーの巨人。協奏曲でソリストに合わせて押さえ気味に演奏していた楽団員は、交響曲になると自分達の持ち味を発揮し、のびのびと歌いだす。協奏曲目当てで演奏会に行っても、やはり僕は最後のシンフォニーが一番いいなあ、と思って毎回会場をあとにすることが多いのだが、今回もそうだった。
横に長いフェスティバルホールの会場の特性を活かしてか、各パートの位置取りがとても変わっていた。舞台のかなり左手にコントラバスをまとめておき、トランペット、ホルンなどの金管は横一線にズラーっと並べられている。この配置によって巨人の曲を非常に堪能できた。
木管の小鳥(カッコウ?)のさえずりのような出だしから始まり、マーラーの歌曲を基にしたフレーズ、そして大熱狂のフィナーレまで、非常に色彩豊かに演じられていたと思う。今まで聞いた巨人はどちらかというともっとカッチリとしていた構成のものが多かったのだが、今回はとても変化にとんだ演奏だった。指揮者(ヒュー・ウォルフ)の影響なのかなあ。ベルリオーズの「幻想交響曲」と同じような楽しさを感じた演奏だった(まあ、巨人という曲自体もそういう性質の曲ではあるんだけど。。。)