2005年7月

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今まで読んだ中で一番簡潔でわかりやすかったキリスト関連本だと言える。ただ、タイトルが大げさで、本書によって「謎」(ミステリー)が解き明かされたりするすることはない。しいて言うなら各章のタイトル「○○はなぜ××だったのか?」の謎かけを解明しましょう、という意味での謎は明かされるのだが。。。まあ、そうは言っても入門書としての扱いであれば、かなり突っ込んだ内容にまで触れている箇所があるので、普通のキリスト入門書では飽き足らない人にはおススメの一冊であると思う。
著者は「僕って何?」「いちご同盟」などで有名な三田誠広なのだが、どうしてこうした新書を書くようになったのでしょう?そのせいか、科学的に解明して箇所より、感傷に浸る記述も時々見えたりします。(まあ、逆にそのぶん読みやすい文章だったりもするのですが。。。)ただ「聖書がいままで残っているのが一番の奇跡だ」という件は、ちょっといただけない気がしますが。。。

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元アイドル!

元アイドル!

80年代アイドルを中心に、かつてのアイドルに当時の裏話を聞く対談集。雑誌『アクションカメラ』(後に『Chuッ スペシャル』に連載)に連載された、ということなので、各人の分量も適量で、その分いろんな人の話を読むことができる。(ただ分量が決まっている分、突っ込んだ「濃い」話が少ないのが難点だとは思いますが。。。)
この対談集を読むと、アイドルの多くが、当時は(仕事からくる)ストレスに悩み、自律神経失調症に陥っていること、そして学生時代にイジメにあっていたり、家庭環境に問題があったりする人の方がアイドルには多かったことがよくわかる。 
面白いのはこの本に登場するアイドルたちが同じく80年代アイドルを扱ったテレビ番組『うらまるカフェ』『ロンロバ ハイティーン・ブギ!』(共にTBS)に出演した人と被っていること。まあ、再起にかける芸能人なので一緒なのか、当時を語る企画にノッてくれる芸能人が限られてくるのか、詳細は定かではないですが、僕はテレビも見ていたので、2倍楽しめました。

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玉蘭 (文春文庫)

玉蘭 (文春文庫)

桐野夏生の文体や表現方法(風景や物事をどう捉え、どう表現するか)については、いわゆる女流作家というよりは、男性作家に近い印象を受けた。ただ、この作品の中で語られること、作者が言いたかったこと、作品の中で大切にされている部分、章構成などについて詳しく見ていくと、どうやら男性作家ではなく、女性作家の作品だなあ、と思わずにもいられない(高村薫の場合は、こちらも男性作家的な印象を受けてしまうのだが)。この立ち居地が桐野夏生が人気を得ている所以なのであろうか?
ストーリーとしては興味深く読めたのだが「だからどうなのだ?」という部分に関しては、あまり共感できず。。これはひとえにラストの展開によるのかもしれない。

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チャイ・コイ (中公文庫)

チャイ・コイ (中公文庫)

著者、岩井志麻子といえば。。中村うさぎ乙葉と共に3人で深夜番組の司会をしていた時に見せた「教養がある、爆弾発言満載のエロテロリスト」というイメージが強いのだが、この『チャイ・コイ』もやはり彼女の特徴でもある(?)官能を中心に据えた小説である。そして驚くことにこの本は第二回婦人公論文芸賞を受賞した作品でもあるらしい。
内容の大半がSEXについて語られているのだが、主人公のモノローグというか、彼女の視点に固定されて終始物語は展開していく。男を見てどう欲情するのか、行為中にどう感じるのか、どういう風に想像するのか、、、など。一貫して主人公の視点から切り取られることで、逆にこの小説からはエロさグロさが消え、自らの欲情に忠実な主人公が潔く思えてしまうから不思議だ。南国特有の気だるさや廃頽的な雰囲気も十分感じられ、また著者の言葉選びも独特で読んでいてなかなかに楽しい作品だった。

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アジアンタムブルー (角川文庫)

アジアンタムブルー (角川文庫)

著者の前作『パイロットフィッシュ』より、話の世界に入っていきやすい。『パイロットフィッシュ』がどこか寓話的な要素があったのに比べ、この『アジアンタム・ブルー』の方が、恋愛小説として、すんなりと読めるという印象を受けた。主人公が思い出す過去と、現在が交錯するのだが、構成がしっかりしているためか、それほど混乱することなく、作品世界に入っていけた。
作品としては、パイロットフィッシュの続編(いや前編か?)だと思う(最後の頃に水槽のところで パイロットフィッシュの記述が出てくる)ので、時系列的に並べてみると、こうなると思う。
パイロットフィッシュの回想部分
アジアンタムブルーの回想部分
アジアンタムブルーの現在部分
パイロットフィッシュの現在部分

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ボクを包む月の光―ぼく地球次世代編 (1) (花とゆめCOMICS (2801))

ボクを包む月の光―ぼく地球次世代編 (1) (花とゆめCOMICS (2801))

ぼくの地球を守って』シリーズの続編。主人公はアリスと凛の子供。。。まだ1巻なのだが、ストーリー展開や絵柄・雰囲気は『ぼくの地球を守って』の方が良いなあ。

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桜蘭高校ホスト部(クラブ) (6) (花とゆめCOMICS)

桜蘭高校ホスト部(クラブ) (6) (花とゆめCOMICS)

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この巻の大半は「学園祭」が舞台。お金持ちの学校なだけに、学園祭も派手なのですが、その派手さぶりと生徒の設定が『有閑倶楽部』を彷彿とさせます。6巻ともなると各人のキャラが確立しているので、各キャラクターの立ち位置や役割などがはっきりしているのですが、過去のエピソードなどを随所に盛り込むことで、キャラクターの奥行きを作りこむことも忘れていない点が立派だなあ、と思いました。