コーカサスの白墨の輪

caltec2005-02-16



今日は世田谷パブリックシアターコーカサスの白墨の輪を観劇。とても意欲的な舞台で面白かった。ひとえに演出家(串田和美)のおかげか。。


まずセット自体が面白い。ステージが会場のほぼ中央に円形に作られており、観客席はこの円形舞台を前と後ろからはさむように作られている(つまり、普段の舞台の奥にも観客席がある)。出演者は上演前からステージに上がり、観客に話し掛けている。そして作品上演中も舞台上から去ることはなく、舞台脇に円陣になって座り、楽器を弾いたり歌を歌ったりする。どこまでが日常でどこからが非日常(芝居空間)かの境界をあいまいにすることで、不思議な感覚が生まれていたと思う。


また、休憩明けの裁判のシーン、最後の舞踏会(?)のシーンに観客を参加させるなど、随所に今までにない工夫が見られ、お芝居を演じる人と観る人という対話型のコミュニケーションではなく、観客をも巻き込んだ形でひとつの世界観(芝居)を作っていこう、というアプローチなのだろうなあ、と感じさせる演出だった。


さて、肝心の作品の方だが、難解といわれるブレヒトの作品としては分かりやすい話だと思う。勧善懲悪ではなく、清濁併せ呑むというこのブレヒト作品の特徴は確かにあるが、結末は納得のいくものだし、見ていて「?」と思うような話の展開もなく、3時間強という長い芝居時間を退屈することなく楽しめた。今回の出演者について感じたのは、松たか子はやはり舞台のセンターに立つべき人なんだなあ、ということ。毬谷友子については、その確かな実力と不思議な魅力(なんかとっても猫的な人だなあ)。やはり演劇は見栄えも大事だけど、中身(実力)はもっと大事だなあ、と実感させられた舞台だった。

ホーミー

この作品の舞台はコーカサス(今のグルジアあたり)なんだけど、途中でしばしばホーミー(のどから倍音の音を出して歌う)で歌ってましたよね?音楽がちょっとアフリカっぽいというかプリミティブっぽい印象を受けたんだけど、それはホーミーのせいだろうなあ。ホーミーはモンゴルあたりが元だったようナ。。