ローマ  

caltec2010-09-22



今日は3日間有効なローマ・パスの最終日になるので、割引対象となる美術館・博物館をいろいろと回ることにした。結論から言うと、昨日、訪れたかったミュージアムの多くに行ってしまったため、実は今日訪れたところは、昨日と比べると、少し見劣りがしたのが正直なところだ。


【 本日の行程 】

ホテル →→ カンピドーリオ広場 →→ カピトリーニ美術館 →→ サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会 →→ クリプタ・バルビ(ローマ国立博物館)→→ 国立コルシーニ宮美術館 →→ アルテンプス宮(ローマ国立博物館)→ディオクレティアヌスの浴場跡(ローマ国立博物館)→→ ホテル


カンピドーリオ広場
今日の始まりはカンピドーリオの丘の上にあるカンピドーリオ広場から。この広場はあのミケランジェロの設計によるものだそうで、ヴェネチア広場側からの階段や広場の形、幾何学模様などを効果的に設計した、ということだ。実は以前、NHK-BSの世界の都市景観の特集番組でこの広場が取り上げられており、それ以来、一度実物をこの目で見てみたいと思っていたのだ(この番組で紹介されていて「見てみたいな」と思ったのは実は3つあり、残りは、ヴェネチアの都市景観とアムステルダムの住居構造だったのだが、他の2つは既に実物を見ていたので、このカンピドーリオ広場で見たいと思っていたものは全部観たことになる)。


カピトリーニ美術館(€12→€10)
カンピトーニ美術館を訪れたのは、(もう馬鹿のひとつ覚えのようになっているが)カラヴァッジョの作品『洗礼者ヨハネ』と『女占い師』を観ること。
このカンピトーニ美術館だが、多くの美術館の複合施設のような位置づけになっていて、まずはお目当てのカピトリーナ絵画館へと足を運んだ。実は『女占い師』は、現在修復中だったのだが、裏で修復をするのではなく、この作品が展示されている展示室で、修復師が実際に絵を修復している様子を一般の来館者に見せるという手法にびっくりした。
昨日のベルベリー二宮(国立古典絵画館)同様、「カラヴァッジョを観に来た」と言うわりに、このカンピトーニ美術館で印象に残ったのは、ティントレットとヴェロネーゼのヴェネチア派の画家の作品と、カラッチの作品。カラッチの作品はその渋くて暗い色合いで目立たないのだが、よくよく見ていくと、そこには静謐で深い精神性を湛えたような作品であると感じられた。構図や色合いに派手さを持って声高に叫ぶのではないが、実は中身がすごく詰まっているんだよ、、、、というのが、作品と対峙するうちに感じられてきて、何度観ても飽きない、そんな印象を持った。
他にもヴェラスケス、ルーベンス、ヴァン・ダイクなどの作品もさらりと飾ってあったりして、何気に気の置けない展示をしていた。
カピトリーニ美術館は彫刻が充実しているのだが、2010年から2014年にかけて5年がかりのプロジェクト「Days of Rome」が毎年開催されるらしい。今年は、The Age of Conquestと題したコンセプトで地中海統治によりローマにギリシャ文化の影響が持ち込まれた、それを探るというものらしい(展覧会のオーディオガイドから)。展示物もカピトリーニ美術館所蔵のものだけではなく、大英博物館やその他多くの博物館から借りて展示しているものもあり、この企画展の作品だけ写真撮影不可になっていた。
カピトリーニ美術館はコンセルヴァトーリ宮、新宮、そして市庁舎(タブラリウム)がカンピドーリオ広場にある地下通路を通じてつながっており、この3つで構成されている。タブラリウムは一昨日見た、フォロ・ロマーノのまさに一角と言ってもいい、ローマの文書館のあった場所で、そのようなことも想像しながら、眼下にフォロ・ロマーノを見るのもまた一興だ。フォロ・ロマーノと同様、地下には昔の遺跡跡が今での残っており、この遺跡の上に現在の市庁舎を建てていることが分かる。「ローマでは地下を掘ると、昔の遺跡が出てきて、なかなか地下鉄の工事が進まない」そうなのだが、ローマ時代の城壁や住居跡が、今でも街のあちこちに存在していて、旅行者のこちらとしてはとても驚く光景が広がっている。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆


サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会
カンピドーリオの丘に立つサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会。フォロ・ロマーノの近くにあることからも分かるように、実はかなり前から建てられていた教会ということで、内部を見るのを楽しみにしていた教会である。
で、中に入って感じたことと言えば・・・建物が緩やかにではあるが、斜めになっていることと、ローマ時代の建物から借用された22本の柱とその上の天井を支える壁とが少しずつずれているということ。大地震とかがあっても、大丈夫なのか?と個人的には関してしまったのだが、これは心配しすぎなのかなあ・・・
ゲッセマネのオリーブの枝で作られたと言われる「聖幼な子」像が収められた礼拝堂が特に有名で、数々の奇跡を起こしてきたという。外観はとても地味だが、中は品良くまとまっていて、いわゆる教会らしい教会だなと感じた。実は今まであまり意識して教会を見てこなかったが、実はローマの教会、かなりゴテゴテ趣味のバロック様式に染まっていたんだな、と。このサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会を見て、初めてローマのバロック様式の特徴というものを理解できた気がした。
教会を出て、ヴェネチア広場に下りる階段も、やはり前方に少しずつ傾いており、下りながら振り向いて見上げた教会もまた、前のめりに傾いてこちらに迫ってくるように見えた。


クリプタ・バルビ(ローマ国立博物館
昨日訪れたマッシモ宮がとても充実していた内容だったので、このクリプタ・バルビはどんなところかと期待して訪れたが、ここは、?古代ローマの地下遺跡と?古代から現代に至る、生活王式・経済活動・建築・都市景観のローマの変化、が分かりやすく展示されている比較的新しいミュージアムだ(現在も拡張工事中だった)。
お目当ては地下の遺跡跡の見学だったが、保護の目的のためか、ガイド付きで特定の時間しかできず、かつとてもカビ臭いところで、30分待っての展示内容としては、正直なところ、ちょっとガッカリ・・・(地下に眠る古代遺跡を見るなら、昨年バルセロナでみたバルセロナ、市歴史博物館がお勧めである)


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★☆☆☆☆


クリプタ・バルビを後にして、お腹が減ったので途中にあった中華料理店に入る。頼んだメニューは、海老チャーハンと麻婆豆腐。が、麻婆豆腐が豆腐withチリソースで、揚げ豆腐にチリソースがかかっているという代物で、いわゆる麻婆豆腐とは似ても似つかないものになっていた。まあ、ここら辺がイタリアらしいところか、、と苦笑いしながら、(しかし、ピザ・パスタ・パニーニばかりの食事に飽きたこともあってか)おいしくいただいた。


その後、スパータ宮の横を横切り、テヴェレ川を見下ろしながら、シスト橋を渡る。パリ(セーヌ)、ベルリン(シュプレー)、フィレンツェ(アルノ)、ブダペスト(ドナウ)、、、今まで訪れてきた多くの都市には川があり、川を借景としての風景が出来上がっていたが、テヴェレ川はどうもそうでもなさそうである。。。


国立コルシーニ宮美術館(€4→€2)
この美術館を訪れた目的は、ずばり、(今日で二度目の登場のこの表現だが)カラヴァッジョの『洗礼者ヨハネ』を見ること。
お目当ての絵を見たら直ぐに他の場所へ移るつもりだったが、ルーベンスファン・アイク、ベアト・アンジェリコなど、気になる画家の作品が多く、また建物の雰囲気あるもので、ついつい予定より長居をしてしまった。
この建物は、ガイドブックによると「15世紀にリアリオ枢機卿によって建てられ、17世紀にスウェーデンのクリスティーナ女王の住まいとなり1736年にコルシーニ枢機卿の手に渡り、ナポレオンの兄弟のジョセフ・ボナパルト・フランス大使の居住となり、1883年にコルシーニ家が国家イン売却した」とある。
コルシーニ家のコレクションの一部が、当時のままの状態で展示されており、邸宅の内装とともに展示品を楽しむことが出来た。面白いのが、各部屋なりにテーマがあるようで、男性の肖像画中心、聖母子像中心など、作家毎ではなく、それぞれの関連性を考えながら、展示作品が選ばれていたようだ。
来館者も少なかったので、ほぼ貸し切り状態で、当時の雰囲気を存分に味わいながらゆったりと作品と対峙することが出来た。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆


国立コルシーニ宮美術館を後にして、再びテヴェレ川を渡るためG.マッツィーニ橋を通り、川の右側に戻ってくる。実は川の西側はどちらかと言うと、すれ違う人々の様子から庶民的な町なのかな、ということが窺い知れたが、このテヴェレ川を越えた、地域(ナヴォーナ広場とテヴェレ川に挟まれたエリア)は、ギャラリーやアクセサリーを売る店、個性的なブティックなど、どちらかと言うと、アート寄りな、センスの良い地区になっている。くねくねと曲がる昔ながらの街並みの中で、角を曲がるとカフェがあったり、さらにまた角を曲がるとギャラリーがあったりして、そぞろ歩きをするのが楽しい地域だ。観光名所が近くにあるわけでもないので、団体客がゾロゾロと歩くわけでもなく、気楽に散策をすることが出来る。さて、そんなこんなで散策がてら、てくてく歩いていくと、毎度お馴染みになった、ナヴォーナ広場に行き当たる。今回の目的はナヴォーナ広場北にアルテンプス宮(ローマ国立博物館)を観ること。


アルテンプス宮(ローマ国立博物館
このアルテンプス宮だが、16世紀にこの館を所有したアルテンプス卿のアルテンプス・コレクションの他、ルドヴィシ・コレクション、マッティ・コレクションなど、著名な古代彫刻のコレクションが集められて展示されている博物館のようだ。
なので、展示物はひたすら彫刻、彫刻、彫刻・・・。 そして、アルテンプス宮にもともとあった礼拝堂などの建物の内部も重要な展示物のひとつだ。先ほど観た国立コルシーニ宮美術館もそうだが、貴族の館を美術館として、当時の内装を活かしながら展示するというのは、実は、古代ローマの遺跡を付き合いながら生活してきたローマ人の知恵なのかな、という印象を受けた。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★☆☆☆☆


ディオクレティアヌスの浴場跡(ローマ国立博物館
さて、本日最後の博物館は、ディオクレティアヌスの浴場跡(ローマ国立博物館)。本日3つ目のローマ国立博物館となる。この博物館は「古代ローマ人の生活を知る博物館」となっているようで、昔使われていた壺や武器、装飾品などが展示されている。
個人的な興味は、展示内容より、その名の通りの「ディオクレティアヌスの浴場跡」であったり、ミケランジェロによって設計されたというサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会のキオストロであったりしたのだが、カラカラ浴場跡とは違い、このディオクレティアヌスの浴場跡は、そのままの姿がとどめられておらず、逆にこういう風に古代の遺跡を活用しながら暮らしていたのだな、ということが対比として見られて興味深いと感じた。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★☆☆☆☆
満足度  :★☆☆☆☆



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