仕事を終えて家に帰ってきて、楽しみしていたドラマを見ようとビデオを見ると。。。番組が途中で切れた形で録画されている。原因は。。。 この政治事象でした。


安倍、福田両政権が短命に終わりましたが、小泉内閣の弊害の一部のような気がしないでもありません。。。

ねじれの重圧 孤立の首相、力尽きた


これが「ねじれ国会」の重圧なのか――。代表質問の前に辞意表明した昨年の安倍前首相に続き、福田首相も秋の臨時国会を前に政権を投げ出した。野党の攻勢に加え、早期解散を求める公明党をはじめ与党からも圧力が強まるばかり。臨時国会の展望が開けないなかで、ついに力尽き、孤独な決断に追い込まれた。


「辞めることにしたので、総裁選の準備をして下さい」


1日夕、首相官邸の首相執務室。福田首相は大阪での防災訓練から帰ると、突然、自民党麻生太郎幹事長と町村官房長官を呼び、辞任の意向を伝えた。


「どうしてなんですか」。唐突な辞意の理由を問いただされると、首相は民主党の小沢代表の名を挙げ、こう語った。「福田と小沢では通常国会と同じ構図になる。繰り返しになる。新しい人になったら、もしかしたら変わるかもしれない」


「人が変わっても、(民主党の対応は)変わらないでしょう」。1時間を超える会談のなかで、再三慰留されても、首相の気持ちは最後まで変わることはなかった。


臨時国会召集まであと11日、首相側近も「当日知らされた」と語るほど唐突な辞任劇。背景には、予想される野党の抵抗に対処できない、との判断があった。


「この臨時国会が少しでも順調に行くようにと考えた。野党は『解散、解散』とあおる。解散ということがあると議員心理がいろいろあるので、そういう議員心理の結果、政治情勢が不安定になってはいけない」。首相は1日の会見でこう語った。政府高官は「辞任の理由は、民主党の解散しか考えていない国会運営だ。国民に何か言いたいというよりは、民主党への抗議の辞任だ」と無念さをにじませる。


民主党の小沢代表がこの日、8日に告示される代表選に出馬表明、3選を確実にしたタイミングも影響したようだ。首相周辺は「自分が辞めて総裁選に踏み切ることで、民主党との違いを見せたかったのではないか」と語る。


野党側の攻勢に加えて、だめ押しのように強まる公明党はじめ与党内の圧力も、首相から政権運営に向けた自信を奪っていった。


つまずきは、臨時国会の召集日をめぐる政府・与党の調整から始まっていた。


首相は、重要法案の審議日程を十分に確保するため、8月下旬を希望。しかし、9月下旬召集を求めた公明党に配慮し、9月中旬召集と譲歩せざるを得なかった。同党は、首相が強い意欲を示した補給支援特措法の延長法案にも強い難色を示した。


さらに追い打ちをかけたのが、総合経済対策に「08年度内に実施」と盛り込まれた定額減税をめぐる政府・与党の攻防だった。


首相自身、「バラマキ政策ととられかねない」(周辺)と考え、実施に否定的だったが、総選挙向けの「目玉」を求める公明党に押し切られた。当の公明党の太田代表は、首相の会見の30分前に連絡を受けたといい、「突然のことで正直言って驚いている。首相として熟慮した結果の判断だと思っている」とかみしめるように語った。


「自分の希望通り国会を召集することができなかったし、おまけに公明党に押し切られて定額減税をやらなければならなくなった。それがこたえたのだろう」(自民党四役の一人)。野党の攻勢に与党内の圧力が加わり、臨時国会運営の見通しが立たない状況を前に、首相はついに力尽きた。首相は1日、側近にこう語ったという。


「総理に就くときは周りに相談するけど、辞めるときは自分で判断する」


「生活感もなく、対応力に欠けている自公政権は一日も早く終わらせなければならない」。民主党の小沢代表は1日、代表選出馬会見で福田政権をこきおろした。「首相退陣」のニュースは、その夜に飛び込んできた。


■総選挙へ、勢いづく野党


臨時国会へ手ぐすねを引いていた野党は、突然の「政権放棄」に勢いづいた。


「安倍前首相に続いて2代続いての政権の放り出しだ。自公政権そのものが、国民に責任を持てないことを自ら証明したことになる」。菅直人代表代行は東京都内で記者団にこう語り、自民党政権担当能力に疑問を呈した。


輿石東参院議員会長も「参院で問責決議を可決し、あとは国民が判断すると言ってきた。与党内と世論に追い込まれた退陣だ」。鳩山由紀夫幹事長は「内閣改造は何だったのか。そのときに密約があったと言われている」と麻生幹事長への「禅譲密約説」を牽制(けんせい)した。2日に小沢氏ら幹部が集まり、今後の対応を協議する。


無投票3選が確実な小沢氏は、1日に首相就任への決意も表明した。21日の臨時党大会の演説で「小沢政権」の構想をアピール。党役員人事を経て、「政局国会」(幹部)で攻勢をかけるべく首相に剣先を突きつける手はずだった。


代表選を無投票にしたのも「いつ解散になるかわからない中で代表選をやっている場合か」(ベテラン議員)という空気。任期満了に伴う代表選ではなく突然の自民党総裁選が行われるという事態だが、結束重視は変わらない。福山哲郎参院政審会長は「一枚岩になって政権を担う準備を加速する」と引き締めた。


民主党の照準は「新総裁」に移る。小沢氏自身も今春、福田政権退陣後の新首相と総選挙を戦うことを想定していた。「3代続けて選挙の洗礼を受けない政権」と訴えて解散を迫るシナリオ。小沢氏に近い鉢呂吉雄「次の内閣」外相は「誰が総理になっても同じだ」と強調した。


もっとも、党幹部らの間では「福田首相の手による解散」を期待する声も多かった。ただ、こうなれば、総選挙モード一色となるのは確実だ。「総裁選直後ならご祝儀相場で自民党に一定のプラスはある」との見方は民主党内にも根強い。


民主党は「自民党政権担当能力はない」と攻撃をゆるめず、総選挙で政権交代を果たしたい考えだ。安住淳国対委員長代理が「統治能力を失っている。信を問うべきだ」と言えば、渡部恒三最高顧問はあきれかえってみせた。


「安倍前首相もそうだし、まったく無責任極まりない。この国の政治がどうなるか心配でたまらない」


朝日新聞 2008年9月2日6時10分)