ヴァチカン  

caltec2010-09-23



今日はこの旅行のハイライト、ヴァチカン博物館訪問の日(今回の旅行の3つ目の目的である)。ひょっとしたら一日中美術館の中にいるのか?と予想していたが、9時に入館して5時過ぎに退館したので(閉館は6時)、ほぼ開館と同時に入り、閉館間際(実際に展示室の扉を閉め始めるくらい)まではいたことになる。ヴァチカン博物館は、メトロポリタンやルーブルのように、趣旨の異なる博物館(美術館)の集合体のようなもので、一つ一つの博物館(美術館)がボリュームたっぷりなので、おそらく今回の旅行で訪れた全ての美術館・博物館を足した数よりも、展示数は多かったのではないかと思う。


【 本日の行程 】

ホテル →→ ヴァチカン博物館 →→ ※以下はヴァチカン博物館の中 →→ ラフェエロの間 →→ システィナ礼拝堂 →→ スタート地点に戻る →→ エジプト博物館 →→ キアラ・モンティ美術館(古代彫刻)→→ 新回廊(古代彫刻)→→ ピオ・クレモンティ美術館(古代彫刻)→→ エトルスク美術館 →ギリシア彫刻の間 →→ 壺のコレクション(エトルスクとギリシア)→→ 大燭台のギャラリー(古代彫刻)→タペストリーのギャラリー →→ 地図のギャラリー →→ ピウス5世の居室 →→ ソビエスキ王の間 →ラファエロの間 →→ ボルジアの居室 →→ 現代宗教美術館 →→ システィナ礼拝堂 →キリスト教美術館 →→ ヴァチカン図書館の回廊 →→ グレゴリアーノ美術館 →→ ピウス9世の美術館 →→ 絵画館 →→ ※ヴァチカン博物館を退館 →→ サン・ピエトロ広場 →サン・ピエトロ大聖堂トレヴィの泉→ 古代神殿跡 →パンテオン→ ナヴォーナ広場 →ヴェネチア広場 →→ ホテル


ヴァチカン博物館
ガイドブックによると、入館までかなり待ちそう、とのことだったので、気合を入れて8:30にヴァチカン博物館近くに到着。入り口から直ぐの城壁の途中くらいまで(前に100人くらいかな?)並んでいたが「チケットを持っていない人は左の列に並んで。9:00から入場可能」という係員(らしき人)の忠告に従い、開館まで30分ほど待つことになる。右側の列は「事前予約した人はこっち、、」ということで、スイスイと前に進んでいく(どうやら事前予約組は8:30から入れるらしい(でないと、入館してからすぐにシスティナ礼拝堂に向かったのにその時点で、団体客だけわんさかいるのはおかしい)。
9:00になり、列が動き出す。入り口のセキュリティチェックを受けて、9:10にはチケットも無事ゲットし、オーディオガイドを借りていた。思ったよりもすんなりと入れて、ビックリ(フィレンツェウフィツィ美術館の2時間待ちという苦い思い出があるからなあ、、、)。
とりあえず、今回の最大の目的地、システィナ礼拝堂を目指すことにした。


ラフェエロの間
まずはシスティナ礼拝堂へ、、と目指すものの、物理上、一応のルートに沿わないと目的地にたどり着かないので、「スクージ」と言って団体ツアー客の波を掻き分けながら、前へ前へと進む。が、システィナ礼拝堂に向かう前に、まずはラファエロの間でラファエロフレスコ画を堪能することにする。居室には4名ほどの個人入館客のみ。全壁面ラファエロフレスコ画で埋められた居室が4つ。その中でも『署名の間』が一番印象に残った。『聖体の議論』(神の心理)と『アテネの学堂』(理性の心理)の対比や、この絵の中にソクラテスやダンテ、アリストテレスダヴィンチそしてラファエロまでもが描かれているので、各人の風貌、描かれている行動を見るだけでも楽しい。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★★★
満足度  :★★★★★


システィナ礼拝堂
ラファエロの間を抜けて、今回の目的地システィナ礼拝堂へと向かう。システィナ礼拝堂に着くと、人、人、人。そして礼拝堂の中は薄暗く、あまり良く壁画が見えない状態だった(オペラグラスを持参することをお勧めします)。「Don’t Stop」「No Photo」「Quiet Please」の係員の合図が何度も響く中、ひたすら上を見上げ続ける人々・・・見方によっては面白い光景が広がっている。
システィナ礼拝堂はラファエロによって描かれたのみだと勘違いしていたのだが、彼によって描かれたのは天井画と正面の『最後の審判』のみ。壁画はボッティチェリやグランダイオなどのルネッサンス期に活躍した画家たちが、『キリストの洗礼』『モーゼの旅』など、聖書のエピソードを描いている。
まあ、この礼拝堂のみに40分程はいたと思うが、だんだんとツアー客の姿が減ってきて、個人で来館する人が増えて来わって、構成メンバーは変わるものの、人の流れは切れずに、いつまでたっても混雑することしきり。十分に堪能したので、ひとまずヴァチカン図書館までの道のりを進み、スターとポイントに戻ることにした。


企画力  :★★★★★
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★★
満足度  :★★★★★


エジプト博物館
さて、スタート地点に戻り、いよいよ、最初の展示室、エジプト博物館からスタートである(グレゴリウス16世が1839年に創設した、とのこと)。とのっけから、かなりの出来のよさに驚く。本物のミイラもすごかったし、彫像も素晴らしいものが多い(最後の方は、エジプトというよりは、アッシリアのものも展示されてはいるのだが・・・)。一つ一つの作品の大きさこそ、他の博物館には劣るかもしれないが、扱っているものは素晴らしいものが多く、これからの他の美術館の出来も楽しみになってきた。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★★☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★★☆


キアラ・モンティ美術館(古代彫刻)
ここは、とにかく数が半端なく多いです。ピウス7世により収集された約1000本の彫刻が展示されている、とのことで、「よくぞ集めたな〜。その資金はどこから出ているのかな〜」と余計なことまで考えてしまった。ハドリアヌス帝、ディオクレティアヌス帝など、ローマ時代の皇帝の彫像が多い。


企画力  :★☆☆☆☆
展示方法 :★☆☆☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★☆☆☆


新回廊(古代彫刻)
さて、展示室が変われど、まだ古代彫刻が、、ここは、ナポレオンがフランスに持ち帰った彫刻が1817年に返還されたのを機に、ピウス7世により創設されたとのこと。さっきまでいたキアラ・モンティ美術館と比べると、さすがに戦争を機に持ち帰った(略奪した)だけのことはある彫刻が多い。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆


ピオ・クレモンティ美術館(古代彫刻)
クレメンス14世とピウス6世による古代彫刻の一大コレクションが収められた美術館。おそらく、今まで観た中で一番といっていいくらい数・質・展示が素晴らしい。
オーディオガイドによると、収集した作品を展示するのに、礼拝堂をひとつつぶして、貴重なフレスコ画を駄目にしてまで、この美術館を作った、というくらいのようで、その執着ぶりは感嘆に値する。まあ、それだけ素晴らしいものが多く、ギリシア・ローマの英雄は神話の彫像ではなく、動物の彫像も多く、楽しく鑑賞することが出来た。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★★★
作品充実度:★★★★★
満足度  :★★★★☆


エトルスク美術館、ギリシア彫刻の間、壺のコレクション(エトルスクとギリシア
さて、次のエトルスク美術館は、文字どおり、エトルリア人の美術に関して集められた美術館。22日に訪れた「ヴィッラ・ジュリア・エトルスコ博物館」であらかた内容を見ているので、あらかたどんなものか内容は分かってはいたが、ついつい中身を真剣に見てしまった。ヴィッラ・ジュリア・エトルスコ博物館の方が、網羅性・学術的な見地からの展示、解説を行っている分得るものは大きいのだとは思うが、展示方法や展示室の雰囲気はヴァチカン博物館の方が良い。何より明るい居室で、窓からはローマの街が見下ろせ、心地よい風と日の光がふんだんに注がれているのが良い感じだった。
後半になると、エトルリアの壺とギリシャの壺とが展示されている居室に移っていくが、流すつもりでいたものが、実はじっくりと時間をかけて見てしまったという、居室になった(これは22日にヴィッラ・ジュリア・エトルスコ博物館で概要を知っていたせいもあるかとは思う)


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆


大燭台のギャラリー(古代彫刻)
ここはとりあえず、通過しました。


企画力  :★☆☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★☆☆☆☆


タペストリーのギャラリー
薄暗い中に廊下の両側にタペストリーが並ぶ。かなり巨大なタペストリーがかかっているが、実は、織り機は、タペストリーの横幅と同じだけの幅が必要になるので、これだけ巨大なタペストリーを作ると為ると、設備(織り機)・技術がともに揃っている工房は数えるほどしかなかった、、ということだ。フレミッシュ(フランドル地方。今のベルギー)の工房のものが多いとのこと(オーディオガイドの内容より)。毎回展示品を見て思うのだが、タペストリーは手間・時間・技術を要する割に、色彩・品質の劣化が激しく、当初の豪華さが失われてしまうのが残念だ。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★★☆☆☆


地図のギャラリー
ここもシスティナ礼拝堂に向かうための「通過するだけの間」になるかと思いきや、なかなかどうして、とても興味深く展示品をみてしまったエリア。16世紀後半にグレゴリウス13世の命によってイタリア各地の地図が描かれたとのことだ。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆


ピウス5世の居室
聖ピウス5世の居室があったところが展示室になっており、ここでもまたタペストリーが登場する。その他陶器など。個人的には「通過の間」(ピウス5世、ごめんなさい)


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★☆☆☆
満足度  :★☆☆☆


ソビエスキ王の間、ラファエロの間
ウィーンでトルコに勝利したポーランド王ソビエスキを讃えたタペストリーが掲げられている一室。
ソビエスキ王の間の奥にある『無原罪のマリアの間』を抜けると、一度外の渡り廊下に出て(と言っても結構高い場所の外を通る)奥まで行き、ラファエロの間は、奥から手前に戻ってくるという順路をとる。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★☆☆☆
作品充実度:★★☆☆☆
満足度  :★★☆☆☆


ボルジアの居室
ボルジアとは、あの『チェーザレ』(惣領冬実のコミック:スピリッツ)に出てくるボルジア家のこと。ボルジアの居室は「地球の歩き方」のお勧めコースには入っておらず、また人も殆ど訪れていなかったが、天井画が美しく、なかなか見ごたえがあった。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★★☆


現代宗教美術館
「ヴァチカンに現代美術が?」と思ったのだが、近現代の画家たちの、宗教画が集められている一角がある。モーリス・ドニゴッホシャガールジョルジュ・ルオー、クレーなどお馴染みの画家の作品を観ることが出来る。残念ながら各画家の代表作と言ったものはここにはないが、(今まで展覧会で見てきた)既知の画家と、カトリックの総本山、ヴァチカンとが結びつかなかったので、大きな驚きで作品を眺めていた。
今思うと、古代彫刻、タペストリー、ラファエロ、、とルネッサンス以前でお腹一杯状態だったので、ここで頭を軽くして、そしてシスティナ礼拝堂へ向かおうという作戦なのかもしれない。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★★☆☆


システィナ礼拝堂
さて、今日2度目のシスティナ礼拝堂。一度目は10時前、二度目は午後2時半頃。結論から言うと、二度目の方が良かった。というのも、二度目にはちょうど日の光がいい塩梅で差し込んできて、長方形のシスティナ礼拝堂のフレスコ画を照らし、作品をよりよい状態で鑑賞することができたから。また、団体客が去ってしまった後なので、「かたまり」を作っておらず、群衆の中をあちこち移動しやすかったから。


キリスト教美術館
システィナ礼拝堂を出ると、もう目的は達したかのごとく、テンションが落ちてしまったのですが、システィナ礼拝堂を出て続くこの居室には、教会で使う燭台や十字架など、重荷「祈りの場」で使われるものが展示されており、よくよく考えると重要なものが展示されていたりします。


企画力  :★★☆☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★☆☆
満足度  :★★☆☆☆




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