ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密 展

caltec2008-09-12



六本木にある国立新美術館にて「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密」展を見る。


特別出展される、ベラスケスの「薔薇色の衣装のマルゲリータ皇女」が目当てで本展覧会を訪れたのだが、いやいやどうして、しっかりと考え構成された展覧会で、目玉といえる作品がそれほど多くないとは言え、ベラスケスの作品がなくても充分優れた展覧会だといえる展示内容だったと思う。


美術館による本展覧会の概要は以下のとおり。

今回の展覧会では、ウィーンの美術史美術館が所蔵する豊富な作品群のなかから、『静物画の秘密』の主題のもとに75点の秀作を選び出し、これらの「静物画」が、広くヨーロッパ各地に展開したその隠れた理由、そしてさらに、個々の作品が秘めている深い意味内容を探る試みがなされます。ベラスケス作《薔薇色の衣裳のマルガリータ王女》のピンクの薔薇、アントニオ・デ・ペレダ作《静物:虚栄(ヴァニタス)》の不気味な頭蓋骨、ヤン・ブリューゲル(父)作《青い花瓶の花束》の華麗な花々、コルネーリス・デ・ヘーム作《静物:朝食卓》の瑞々しい果実と食器。その他さまざまな「静物」が秘密の意味を問うことになります。


本展覧会は4部構成で構成されている。

  第1章:市場・台所・虚栄の静物 
  第2章:狩猟・果実・豪華な品々・花の静物
  第3章:宗教・季節・自然と静物
  第4章:風俗・肖像と静物


いわゆる静物画からイメージされる作品ばかりではなく、当時のフランドル・スペインを中心にした風俗画、静物画を展示していたのが本展覧会だと思う。そして本展覧会で展示されている作品の多くが、王侯貴族のためのものではなく、当時台頭してきた市民階級(裕福な商人)をターゲットにした作品が主であるのが特徴だ。


本展覧会では、展示作品を通じ、当時の人々の生活や、好み、社会通念などを理解できる構成になっている。前回のフェルメール展でも感じたが、国立新美術館での展覧会、かなり構成が練られており、絵画をただ絵画としてみるのではなく、共通のテーマに照らすことで、絵画を通じた「教育(学習)」もできる、そんな展覧会だと思う。


展示作品も派手さには欠けるものの、しっかりとしたものを揃えてきました、という感があり、鑑賞していてとても楽しいひと時を過ごせるものだった。


企画力  :★★★★☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★☆☆