モディリアーニ展 Modigliani et le Primitivisme

caltec2008-04-09



国立新美術館にてモディリアーニ展を観る。


モディリアーニ展といえば、ちょうど昨年の今頃、渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展 〜運命のアーティスト・カップル〜」が開催されていてた。この展覧会はモディリアーニとその妻ジャンヌに当てられ、絵画を通じてモディリアーニの人物像に迫ろうという内容だったと思う。


今回、国立新美術館で開催されているモディリアーニ展は「モディリアーニとプリミティヴィズム(原始主義)」と副題がつけられたことからもわかるように、彼の作風の確立に大いに貢献したプリミティブアートにスポットをあて、その角度から彼の作品を捉えな直してみようというのが趣旨での開催だ。


国立新美術館のHPによると、展覧会概要は下記のように語られている。

展覧会概要


20世紀初頭にパリのモンパルナスで活躍したアメデオ・モディリアーニ(1884-1920)は、エコール・ド・パリを代表する画家として知られています。しかし、モディリアーニが自らの創造の源泉として、原初的な力にあふれるアフリカやオセアニア、東南アジアなどの芸術に深い関心を寄せていたことは、あまり注目されてきませんでした。プリミティヴ美術(原始美術)の素朴で純粋な造形は、当時ピカソマティス、ドランといった前衛的な芸術家たちが新しい表現を探求する過程で、重要な指針となりました。モディリアーニもまた、プリミティヴ美術を理知的に分析し、それを革新的な表現に結びつけた画家であったことが明らかになってきています。本展では、プリミティヴ美術の影響を色濃く示す初期のカリアティッドの作品群から独自の様式を確立した肖像画にいたるまで、幅広い作品を紹介し、プリミティヴィスムに根ざしたモディリアーニの芸術がいかなる変遷をとげたのかを探ります。 10カ国におよぶ国々から集められた作品を通して、前衛画家としてのモディリアーニの功績を一望できるまたとない機会となることでしょう。


モディリアーニと言えば、私たちは長い首の上に、細く引き伸ばされた顔、そして瞳のない曇った目を持つ人物像をまず思い浮かべる。そして、それと同時に彼の劇的な生涯についても思いを馳せる。。。


こうした一般的なモディリアーニの鑑賞の仕方に対して、彼の絵の特徴を形成付けるのに大きな意味を持つ、彫刻家としての時代及び彼の想像の源となったプリミティブアートについてもっと深く洞察していこうというのが、本展覧会の大きなメッセージだと思う。


今回の展覧会では、パリに出てきた頃の作品⇒カリアティッド(プリミティブアートの影響を受けた作品)⇒モディリアーニらしい作品という流れで年代順に構成されており、この流れに沿って彼の作風の変遷を見ていくと、やはりプリミティブアートの時代があったからこそ、あのモディリアーニ独特の画風が確立されたことが良くわかる。


モディリアーニの画風の確立の立役者であるカリアティッドに焦点を当てたという企画は素晴らしいと思うが、どうせなら同時期に彼が取組んでいた彫刻作品も同時に展示して欲しかった、というのが個人的に残念な点だ。


というのも、彼の画風の確立には、カリアティッドの絵画表現と共に、プリミティブアートにインスパイアーされた彫刻作品も大きな一役を買っていると思うからだ。


残念は点はあるものの、この展覧会に出展されているモディリアーニの作品は美しいものが多い。彼の画風の確立や、プリミティブアートの影響についての考察等の七面倒なことを考えず、ただ単に彼の作品を鑑賞するだけでも十分に楽しめる、そんな展覧会であることは確かだ。


企画力  :★★★☆☆
展示方法 :★★★☆☆
作品充実度:★★★★☆
満足度  :★★★★☆