イタリア:ヴェネチア

caltec2007-09-23



今日は日曜日ということもあり、どこも人、人、人。そして肝心のサン・マルコ寺院は午後の開館のみ。今日は人混みを避け、教会巡りをすることにした。


【 本日の行程 】
ホテル→→(ローマ広場)→→ カ・ペーザロ(現代美術館・東洋美術館)→→ サンタ・マリア・グロリーサ・デイ・フラーリ教会 →→ (リアルト橋)→→ サンティッシマ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会 →→ サン・ザッカリア教会 →→ (サン・マルコ広場)→→ (ローマ広場)→→ ホテル


カ・ペーザロ
昨日購入したSan Marco Museum Plusによると、サン・マルコ広場の施設プラス、もうひとつ美術館に入場できる、ということだったので、まずはカ・ペーザロに行くことにした。その名前のとおり、もともとはペーザロ氏の館(Ca)だったものを美術館にしたもの。お目当てはクリムトの絵が展示してある『現代美術館』(2階)だったのだが(先日のペギー・グッゲンハイム美術館とは違い)、クリムトの作品以外は大きな呼び物がなかった。個人的にはJoaquin Sorolla BastidaのSewing the Sail (1896)が良かったと思う。


建物の4階は東洋美術館になっている。展示品の大半が日本のもので、その展示数・そしてクオリティともにとても充実している。あるヴェネチアの商人がインド、インドネシアインドシナ、中国、日本を妻とともに訪れたときに現地で購入し、それをヴェネチアに送ったのだという。彼の死後、蒐集品はオーストリアの美術商に売られたが、その美術商はオーストリアで敵と通じていたとして美術品は国家(オーストリア)に没収された。そして、第一次世界大戦の賠償品として、イタリアが再びその品々をオーストリアより入手し、今に至る。。ということが説明されていた。展示方法も凝っていて、見所満載。戦国時代の鎧、鞍、太刀、小刀、槍に始まり、その後、着物、蒔絵、陶磁器、漆器日本画、とほぼ日本の美術品は集められている印象を受けた。その他には中国の陶器と、インドシナの美術品(影絵の人形、刀、生地など)を展示する部屋がそれぞれひとつずつ。一つ一つの収蔵品をじっくりと時間をかけて見ていたら、気づくとこの美術館だけで3時間を費やしていた。


1階にある、カナル・グランデを眺めることのできるカフェでエスプレッソを飲み落ち着いたところで、カ・ペーザロを後にした。イタリアらしさ、ヴェネチアらしさ、を感じることはあまりないとは思うが、ヴェネチアに何日も滞在するのであれば、是非訪れてほしい場所である。


今までは「サン・マルコ広場」、「ローマ広場」、「リアルト橋」と書かれた矢印を基にヴェネチアの迷路のような路地を歩いていたので道に迷うことはなかったが、今日はそのメインストリートから外れた美術館や教会を巡る旅程。思いのほか迷路のようなヴェネチアの道に手こずる。道を聞きながらたどり着いたのがサンタ・マリア・グロリーサ・デイ・フラーリ教会とスクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ。驚いたことに、毎日その前を通っていた場所で、この教会の前のジェラート屋さんのジェラートを毎日食べていたのだった。。。 スクオーラの方は午後から式典(結婚式?)に使用するため、本日は午前中のみ開館だった。カ・ペーザロに時間を費やしてしまったため、到着した時点ですでに13時を過ぎており、入場できなかった。


サンタ・マリア・グロリーサ・デイ・フラーリ教会
気を取り直してサンタ・マリア・グロリーサ・デイ・フラーリ教会に入る。フランチェスコ派の修道士によって建てられた本教会を訪れた最大の目的はティツィアーノの『被昇天の聖母』を見ること。やや赤みがかった黄色を基調にオレンジや白にグラデーションがかかった背景が美しい。背後の窓から差し込む眩しい光を背、その光の表現がいっそう柔らかに優しく映っているように思える。椅子に座りしばらくこの宗教画を観ていた。ティツィアーノの他にも、聖歌隊席や、ヴェッリーニの『聖母と諸聖人』なども素晴らしく、また多くの彫像もあり、かなり裕福な教会であるという印象を受けた。14〜19世紀のヴェネチアの総督の墓をはじめヴェネチアで活躍した政治家や芸術家の墓が多いというのも納得である。


教会を後にして、リアルト橋を渡り、次の教会、サンティッシマ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会へと急ぐ。


サンティッシマ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会
歴代の総合の葬儀が執り行われた教会ということで、先ほど訪れたサンタ・マリア・グロリーサ・デイ・フラーリ教会と同様、14〜17世紀のヴェネチアの総督などの墓があるということだ。先ほどの教会よりも作りはシンプルで、白を基調とした明るく開放的な印象を受ける教会である。ステンドグラス好きのcaltecとしては、ステンドグラスが残っている唯一の教会というだけでも、来た甲斐があった。


サン・ザッカリア教会
本日最後に訪れたのが、サン・ザッカリア教会。今までの2つの教会と比べ、規模はこじんまりとしていた。教会の中は絵画で埋め尽くされており、壁という壁が宗教画。窓から差し込む午後の日差しに浮かび上がるこれらの絵を眺めていくうちに時間がいつの間にか過ぎていることに気付く。。。そんな経験のできる教会だ。サン・マルコ広場からも近いこともあり、訪れやすい教会であると思う。


今日、教会をまわって思ったことは、やはり宗教画は教会の壁を飾ってこそのものだな、ということ。美術館に飾ってあるのもそれはそれでよいとは思うのだが、こうした厳かな中で見てこそ、その価値を味わえるものなのかもしれない。
教会の扉を開けて中に入った途端、今までの喧騒の世界から一転して静寂な世界に変わる。その非日常の中で眺めてこそ、その絵の持つ本来の価値がわかるのかもしれない。



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時間があったら寄ってみてください。→http://plaza.rakuten.co.jp/caltec/diary/



(快晴)@ヴェネチア